小林虎三郎

小林虎三郎

小林虎三郎（こばやし とらさぶろう）は、文政11年（1828年）に越後長岡藩士の三男として生まれました。幼少期に病で左目を失明しましたが、長岡藩校で学び、若くしてその才能を発揮しました。

江戸遊学と戊辰戦争

23歳で江戸に遊学し、佐久間象山の門下で兵学や洋学を学びました。戊辰戦争が勃発すると、新政府軍への嘆願書を起草し、徳川慶喜の赦免を法理的に訴えましたが、実現には至りませんでした。長岡藩の大参事に就任し、開戦に反対しましたが、戦局は悪化。藩の重鎮が逃亡する中、彼は長岡のために尽力しました。

教育への情熱

明治維新後、長岡は戦火で荒廃しました。その中で、虎三郎は教育こそが復興の鍵と考えました。長岡藩の支藩からの米百俵の寄贈に対し、「国が栄えるのは人にある」と、その売却益で学校を設立。これが後に国漢学校（現在の市立阪之上小学校）となり、身分に関わらず広く人材育成に貢献しました。

その後

晩年は病に苦しみながらも教育行政に尽力しましたが、郡役所からは疎まれ、静養を命じられました。明治10年（1877年）、50歳で亡くなり、東京で葬られましたが、後に長岡に改葬されました。

業績

国漢学校の設立: 戦後の荒廃した長岡で、教育を重視し、人材育成を目的とした学校を設立。
米百俵の精神: 藩士への分配を拒否し、教育のために米を使用した逸話は、教育の重要性を示す象徴として語り継がれています。
教育内容の革新: 洋学局や医学局を設置し、身分に関わらず広く子供たちの教育の機会を広げました。

小林家の歴史

小林家の遠祖は藤原秀郷と伝えられ、赤堀氏を名乗っていました。戦国時代には、上杉謙信や後北条氏などの大名の間で翻弄され、最終的には浪人となりました。その後、大坂夏の陣での活躍により、小林の姓を与えられました。長岡藩士としては、中堅クラスの家柄であり、代々、藩主に謁見を許される家柄でした。

著作

『興学私議』
* 『小学国史』

親族

解剖学者・人類学者の小金井良精は甥にあたります。

小林虎三郎の生涯は、教育への深い情熱と、困難に立ち向かう不屈の精神を示すものです。彼の「米百俵」の逸話は、今もなお多くの人々に感銘を与え続けています。

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