小樽ジャーナル

小樽ジャーナル：デジタル時代の地方報道機関のパイオニア

小樽ジャーナルは、北海道小樽市を拠点とするインターネット新聞です。ニュースやイベント情報に加え、動画配信などを通じて、地域社会に幅広い情報を提供しています。2003年12月には、小樽市政記者クラブへの加盟を果たし、ネット専門メディアとして初めて記者クラブに加入したことで大きな注目を集めました。これは既存の報道機関に衝撃を与え、ネットメディアの報道への参入を象徴する出来事となりました。

この記者クラブ加盟は、紙媒体からテレビ、そしてインターネットへと変化するメディア環境の中で、大きな転換点を示す出来事として、学術的な研究対象にもなっています。立教大学社会学部教授・成田康昭代表のニュースサイト研究会は、小樽ジャーナルの記者クラブ加盟を『インターネット・ニュースサイトのジャーナリズム機能に関する日韓比較研究(1)』(2006年12月発刊)において詳細に検証しています。

インターネットを報道媒体とすることで、小樽ジャーナルは紙媒体のような記事や写真の量、締め切り時間といった制約から解放されました。これにより、リアルタイムでの速報が常態化し、事故や災害発生時の迅速な情報発信が可能となりました。写真や記事に加え動画による報道も行っており、市民への情報伝達をより効率的に行っています。さらに、動画報道サイト「小樽テレビOTV」や携帯サイトも活用し、インターネット、動画、携帯電話の3媒体を駆使した情報発信体制を構築。デジタル時代における地方情報発信の新たなモデルを提示しています。

小樽ジャーナルの報道活動は、地域社会に大きな影響を与えています。例えば、台風による鰊御殿の被害や市内の火災といった災害・事故の速報は、関係者に迅速な情報提供を実現しました。また、市政に関するキャンペーン報道も高く評価されています。特に、200億円を超える建設費が見込まれていた市立病院問題の報道では、同社の鋭い追及が市による建設計画の中断という結果に繋がりました。このキャンペーンは、総務省公立病院改革懇談会の座長を務めた長隆氏や、城西大学経営学部准教授の伊関友伸氏からも高く評価されています。伊関氏は自身のブログで、「小樽ジャーナルは、北海道新聞など大手マスコミが報道しない小樽市政と市立病院の情報についてインターネット上で詳しく報道する貴重なメディアである」とコメントしています。

さらに、市議会の議員定数削減問題に関するキャンペーン報道も、議会に大きな影響を与えました。小樽市議会平成会の大橋一弘代表は、定数削減を実現できた要因として小樽ジャーナルによる情報公開の役割を高く評価し、「インターネットや新聞で1回ごとに論議が報道され、市民に伝えられた。市民にすべての論議が公開され、市民の声が殺到したことが大きな力となった。」とコメントしています。自民党の横田久俊市議会議員もブログで、小樽ジャーナルの情報発信が「ネットでの情報共有」の進展に貢献したと認めています。

小樽ジャーナルは、地方のインターネット新聞として、地域社会への貢献を果たすと同時に、デジタル時代における報道機関のあり方について示唆に富む存在となっています。その活動は、地方報道における新たな可能性を示す先駆的な事例と言えるでしょう。

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