小樽高等商業学校

小樽高等商業学校の歴史

小樽高等商業学校（略称：小樽高商）は、1910年に設立された旧制の専門学校です。北海道で2番目の高等教育機関として創立され、全国では5番目の官立の高等商業学校となりました。小樽の繁栄を背景に設置が決まり、設立当初は実践的な商業教育と外国語教育に力を入れていました。

設立の背景と発展

設立に先立ち、官立高商は東京、神戸、山口、長崎にあり、すべてが関東以西に集中していました。このため、小樽と並ぶ候補地であった函館、仙台が誘致を競い合い、最終的に小樽が高商設立に必要な建設費の大部分を拠出することで招致に成功しました。1911年には本科を設置し、渡邊龍聖が初代校長に就任しました。北海道大学が農学を中心とする理系に特化していたため、小樽高商は道内の唯一の文科系官立高等教育機関として重要な役割を果たしました。

学校は設立当初から実業教育に注力し、旧制中学校や商業学校卒業生も受け入れ、商業実践や商品実験の授業を実施しました。1919年には実習工場が完成し、石鹸の製造から販売までを学ぶ場を持ちました。同校はまた、多くの外国人教員を招き、幅広い語学教育を提供。このことから「北の外国語学校」として知られるようになります。

戦時体制下の変化

小樽高商は、1935年から苫米地英俊が校長に就任した際、学校運営の改革を試みます。戦時体制の進行によって、彼の方針は体制の協力を重視したものでした。高商は小樽経済専門学校と改称され、最終的には1944年にこの改編に成功します。しかし、苫米地校長の専制的な運営により、学内のリベラル派教員との対立が生じ、教員の転出が相次ぐ問題も抱えていました。

戦後の新制大学への移行

第二次世界大戦が終わると、学校は民主化の流れの中で変化し、苫米地は校長を辞任。1946年、4代目の大野純一が新たな校長に就任し、大学昇格運動が再燃しました。教員や同窓会、市民が一体となり運動を進め、1949年には小樽商科大学が設立されたことで、小樽経済専門学校は単独で新制大学に昇格しました。

今も続く教育の伝統

小樽高商から小樽商科大学への移行を経て、現在でも同校の伝統や精神は引き継がれています。同窓会「緑丘会」は卒業生たちのネットワークを強化し、学校が多くの文化人や経済人を輩出したことを誇りにしています。特に、作家の伊藤整や小林多喜二といった文豪の存在は、小樽高商の教育の質の高さを物語っています。

このように、歴史的に小樽高等商業学校は多くの挑戦を乗り越えつつ、北海道における高等教育の発展を担ってきました。創立以来、文系・理系に関わらず多彩な人材を育成し続けるその理念は、今後も受け継がれることでしょう。

もう一度検索