小比賀家住宅

小比賀家住宅（おびかけじゅうたく）

香川県高松市御厩町に位置する小比賀家住宅は、国の重要文化財に指定された古民家です。ここでは、その歴史や建築の特徴、庭園について詳細にご紹介します。

歴史

小比賀家は甲斐源氏武田氏の流れを受け継ぐ家系であり、戦国時代末期に武田氏が滅亡すると、四国へ渡り讃岐室山城の城主となりました。一族が御厩町に住み始めたのは、17世紀初頭の慶長年間とされ、その後江戸時代には村の庄屋を代々務め、時には大庄屋として周囲の村を管理していきました。

沿革

1971年4月30日、小比賀家の庭園は「小比賀家築山庭園」として県の名勝に指定。続いて同年6月22日には、主屋や他の3棟の建物が国の重要文化財に指定されました。しかし、2010年12月3日に強風の影響で庭園の松が倒れ、一部の土塀が損傷するという事件もありました。

文化財の詳細

小比賀家住宅に含まれる文化財は、主屋、午門、土蔵、米蔵の4棟であり、その周囲にある土塀や屋敷の絵図も附指定されています。

主屋

主屋は敷地の中央に位置し、17世紀前半に建てられた木造平屋建ての家屋です。桁行は26.6m、梁間は9.8mと広く、寄棟造の茅葺屋根が特徴です。四面には庇が設けられ、そこは本瓦葺きで仕上げられています。18世紀末に大規模な改修が行われたものの、当初の材が多く残されています。室内は土間と六間取りの床上部があり、居室や玄関、座敷の配置が考えられています。

午門

午門は邸宅の正門で、18世紀中期に建設されました。寄棟造の茅葺き長屋門で、桁行は35.4m、梁間は5.9mです。南方に位置しているため「午門」と名付けられ、かつては牛や馬の小屋としても利用されていました。

土蔵

主屋の裏手西側に位置する土蔵は、18世紀中期に建設された二階建ての蔵です。土蔵造りで、桁行は9.1m、梁間は4.5mの大きさを持ち、切妻造の本瓦葺きの屋根がかぶされています。

米蔵

主屋の裏手北東にある米蔵は、19世紀中期に建築された二階建ての土蔵です。桁行は10.1m、梁間は6.1mで、やはり切妻造の瓦葺き屋根を備えています。

築山庭園

小比賀家住宅の西側には池泉回遊式の庭園が広がります。この庭園は「小比賀家築山庭園」として県の名勝に認定されており、約250坪の広さを持つとされています。建物が築造された慶長年間から存在しているとされ、その美しさは江戸時代初期の讃岐地方を代表するものと考えられています。

公開状況

小比賀家住宅は常時見学できるのは午門の外観のみで、内部は毎月第3日曜日に限定的に有料開放されています。見学の際の時間は10:00から16:00までで、大人300円、子供200円の入場料が必要です。ただし、見学者用の駐車場は無く、周辺には案内看板も設置されていませんので、訪問時は事前に注意が必要です。

交通アクセス

• - ことでんバス 御厩・県立総合プール線「御厩」バス停より徒歩5分
• - JR 予讃線鬼無駅より徒歩26分
• - 高松自動車道 高松西I.C.より車で4分（松山・岡山方面専用）、高松檀紙I.C.より車で2分（徳島・神戸方面専用）
• - 国道11号高松南バイパス御厩交差点から県道177号円座香西線を北上すぐ

小比賀家住宅は、香川県高松市に残る貴重な歴史遺産として、訪れる人々にその文化的価値を伝え続けています。

もう一度検索