小沢通宏

小沢通宏：栃木県出身の元サッカー日本代表と指導者

生い立ちと若年期

小沢通宏は1932年12月25日、兵庫県で生まれましたが、父の仕事の都合によって東京へ引っ越し、太平洋戦争中には宇都宮市に疎開し、その後も宇都宮に住み続けました。幼少期から体が弱く、激しい運動を制限されていましたが、栃木県立宇都宮高等学校に入学した際、反対を押し切ってサッカーを始めました。彼はFWの岩淵功と共に高校サッカーで活躍し、高校１年生から全国高等学校蹴球選手権大会に出場。高校2年時には準優勝、3年時には栃木県として初の優勝を果たしました。この偉業は栃木県勢として2014年まで唯一のものであり、彼らの活躍は「超高校級チーム」と称されました。

大学時代とプロ入り

サッカーに対する情熱を抑えきれず、東京教育大学（現・筑波大学）に進学後、サッカー部に入部しました。大学1年から試合に出場し、3年時には関東大学サッカーリーグ戦での優勝に貢献。また、この時に日本代表合宿に招かれ、大学4年時には第3回全日本大学サッカー選手権大会で優勝を果たしました。1955年には東洋工業（現・マツダ）に入社し、サッカー部では名将小畑実監督の指導の下でハーフバックとしてプレーしました。ここでも1962年の国体初優勝や全国実業団選手権優勝などの成果を上げ、同年には日本年間最優秀選手賞も受賞しています。

日本代表への道

日本代表としてのキャリアは1955年に始まり、東京アジア大会に参加する形でB代表に選出。1956年のメルボルンオリンピックアジア予選ではA代表に初出場し、その後は代表の中心DFとして長期間にわたって活躍しました。1964年の東京オリンピックではキャプテンを務める予定でしたが、若返りを求めるクラマーの方針により最終的に落選。この出来事も彼の心に強く影響を与え、以後の彼の指導者としての活動に繋がることとなります。

コーチ業と指導者としての歩み

選手引退後、小沢は引き続きサッカーに携わり、東洋工業サッカー部のコーチとして若手選手の育成に貢献しました。その後も安芸府中サッカースポーツ少年団で総監督として指導を行い、現役選手たちの成長に寄与しています。彼が指導した生徒の中には後にプロサッカー選手となる梅田直哉や宮本卓也らもおり、多くの選手に影響を与えてきました。

影響とエピソード

彼のキャリアの中で多くの選手と関わった小沢は、特に松本育夫を東洋工業へと導いたエピソードが有名です。また、広島カープの上田利治も彼の講義から影響を受け、多くの指導に携わりました。他にも数多くの選手たちに指導してきた経験は、彼が日本サッカー界において与えた影響の証ともいえるでしょう。

小沢通宏は、選手としての輝かしいキャリアに加え、指導者としても日本サッカーの未来を育ててきた重要な存在であり続けています。

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