小泉秀雄

小泉秀雄：高山植物研究の先駆者、大雪山の父

小泉秀雄（こいずみ ひでお、1885年11月1日 - 1945年1月18日）は、日本の植物学者であり、登山家としても知られています。彼は特に高山植物、地衣類、蘚苔類の研究において顕著な業績を残しました。

生涯

小泉秀雄は、1885年に山形県米沢市で旧米沢藩士の家に生まれました。盛岡高等農林学校に進学しますが、中退し、その後は中学校教員として教鞭を執りました。山形県内の中学校に勤務した後、1911年には北海道庁立上川中学校の教員となります。

北海道での勤務中、小泉は大雪山に足繁く登り、地形・地質の調査、そして植物採集に没頭しました。これらの調査研究の結果は、日本山岳会の機関紙『山岳』に記事として発表され、1926年には『大雪山 登山法及び登山案内』として刊行されました。この業績が評価され、小泉は「大雪山の父」と呼ばれるようになりました。

その後、小泉は高知県立第三中学校を経て、長野県立女子師範学校、松本高等学校の講師を歴任し、長野県内をはじめ、関東、近畿地方の山岳や名勝の調査を行いました。彼は自身が「寒地植物」と呼んだ植物、地衣類、蘚苔類の研究に力を注ぎ、数多くの新種を発見しました。

1933年からは、共立女子薬学専門学校の教授として教壇に立ち、後進の育成にも貢献しました。

業績

小泉秀雄の業績は、高山植物研究における先駆的なものであり、特に大雪山における調査研究は、その後の植物学研究に大きな影響を与えました。彼が発見した新種や、詳細な植物誌の作成は、日本の植物学の発展に大きく貢献しました。

また、登山家としても、大雪山の魅力と安全な登山方法を広めた功績は大きく、「大雪山の父」として、その名は永く語り継がれています。

献名

小泉秀雄の功績を称え、大雪山系の標高2158ｍの山は小泉岳と命名されました。また、キク科タンポポ属のキビシロタンポポの学名（Taraxacum hideoi）にも、彼の名が献名されています。

著書

上伊那郡植物誌 (1930年)
日本南アルプス寒地植物誌

参考文献

* 『植物文化人物事典』大場秀章（編集）出版社：日外アソシエーツ (2007年4月) ISBN 4816920269

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