小浜原子力発電所

小浜原子力発電所の計画とその経緯

小浜原子力発電所は、福井県小浜市において関西電力が建設を計画していた原子力発電所であり、その位置は内外海半島の東側に位置する奈胡崎の入江、通称・御所平に設定されていました。このプロジェクトは、1966年に関西電力が当地の立地調査を行ったことに始まりますが、その後の経過は多くの市民の反対によって大きく変わっていきました。

経過と反対運動の始まり

1968年に鳥居市長が市議会にて原発誘致への前向きな姿勢を表明しました。この発言を受けて市議会に原発対策特別委員会が設置されましたが、同じ年、内外海漁業協同組合は総会で原発設置に反対する決議を行い、これが市民の反対運動のきっかけとなりました。1970年には、市長の指導の下で原発誘致を進めるための開発局が設けられるなど、誘致に向けた動きが加速しました。

しかし、1971年には「原発設置反対小浜市民の会」が結成され、反対の声がさらに強まりました。同年の調査では、市の有権者24,000人の中から13,000人以上が反対署名を提出し、この結果は市議会に報告されました。これに対して、鳥居市長は1972年に原発誘致を断念する意向を示しました。

市議会の対応と反対運動の集結

さらに、1975年には市議会が原子力安全対策調査研究委員会を設立し、安全性の問題についての調査を進めました。その後、1976年には原発阻止を目的とした市民大会が開催され、約300人の市民が参加するなど、運動はますます広がりを見せました。この年の末には、浦谷市長も原発誘致に対する否定的な見解を示しました。

こうした一連の反対運動は、市民の意見がしっかりと政治に反映される強い力を持っていたことを示しています。結果として、小浜原子力発電所の計画は実現せず、市民の願いが実った形となりました。この事例は、地域社会における対話や市民の意見が、重大な政策決定に影響を与える道筋を示していると言えるでしょう。

参考文献とその意義

小浜原子力発電所に関する詳細な情報は、『大飯原発再稼働と脱原発列島』（中嶌哲演、土井淑平編、批評社、2013年）において深く掘り下げられています。このような文献を通じて、原発問題や地域のエネルギー政策についての理解を深めることが可能です。

結論

小浜原子力発電所の計画は最終的に頓挫しましたが、この過程での市民の意識の高まりと活動は、地域の自主性やエネルギー政策に対する重要な教訓を残しています。これからの地域政策を考える上で、今回の事例は非常に意義深いものと言えるでしょう。

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