小牧師 (1934年の映画)

『小牧師』の紹介

概要

『小牧師』（しょうぼくし、The Little Minister）は、1934年に公開されたアメリカのドラマ映画です。この作品は、キャサリン・ヘプバーンを主演に迎え、リチャード・ウォーレスが監督を務めています。原作はJ・M・バリーによる1891年の小説及び1897年の戯曲で、本作はそれらを基にした5本目の映画作品として製作されました。バリーが生まれ育ったスコットランドの町をモデルにした架空の都市「スラムズ」を舞台に、物語は展開していきます。

あらすじ

物語は1840年代のスコットランドの田舎、スラムズに新たに赴任してきた真面目な聖職者ゲヴィン・ディシャートを中心に展開します。地域の人々は、彼の影響で禁酒を始め、尊敬の念を抱くようになります。しかし、町には労働問題や階級対立が渦巻いており、喧嘩が原因で血を流す事態が発生し、軍隊が出動する可能性があるという噂が立つ不穏な状況です。

ゲヴィンは、実は領主リンタウル卿の娘であるバーバラが身分を偽ってジプシー娘バビイとして村人たちと交わる姿を目撃します。バビイは村人たちを守るために巧妙に振る舞い、ディシャートをその計略に巻き込んでいきます。次第に彼らの間には好意が芽生えるものの、周囲の視線や牧師としての立場が危うくなる中で、バビイはリンタウル卿との結婚を考えるようになります。

物語は、恋愛、社会問題、そして個人の信念に焦点を当て、スコットランドの人々の生活と文化を描き出しています。

キャスト

• - キャサリン・ヘプバーン - バビイ役
• - ジョン・ビール - ゲヴィン・ディシャート師役
• - アラン・ヘイル - ロブ・ドウ役
• - ドナルド・クリスプ - マックイーン博士役
• - 様々なキャストが物語を彩り、映画に深みを与えています。

製作背景

キャサリン・ヘプバーンは、最初はこの役を拒否していましたが、プロデューサーやエージェントの助言を受け、最終的にはバビイ役を引き受けました。この映画の予算は当時の水準としては高額で、650,000ドルに達しました。その費用の大部分は、カリフォルニア州のロケーション撮影に費やされ、小道具やセットの制作に充てられました。実際に使用された村のセットは、他の作品でも活用されています。

また、音楽にはスコットランド民謡が取り入れられ、物語に一層の深みを与えています。映画はニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで初公開され、観客からの反響を呼びましたが、制作にかかるコストが高かったため、最終的には損失を出す結果となりました。

評価

この映画は、作品ごとに異なる視点から評価されました。『ニューヨーク・タイムズ』の評論家は作品を「優しく、愛情あふれる形で映画に整えられた」と評し、その魅力を称賛しました。しかし、予算がかかりすぎたことで、「ボックス・オフィスの毒」と呼ばれる評価を受けることにも。

『小牧師』は、映像美と深い人間ドラマが融合した作品として、今なお観る人に強い印象を与える映画です。

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