小玉武

小玉武（こだま たけし）は、1938年生まれの日本の編集者、文筆家です。東京で生まれ、神戸、横浜で育ちました。神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校を経て、1962年に早稲田大学教育学部を卒業後、サントリーに入社しました。

サントリーでは宣伝部に配属され、広告制作や、サントリーのPR誌として知られる『洋酒天国』の編集に携わりました。その後、広報部長、文化事業部長などを歴任し、1979年には自ら編集長として『サントリークォータリー』を創刊しました。この雑誌は、広告や宣伝の枠を超え、文化的な視点を取り入れた内容で話題を呼びました。後に、小玉氏は取締役出版局長としてTBSブリタニカに出向しています。

2000年には早稲田大学参与に就任し、教育学部などで講座を担当しました。また、戸板女子短期大学講師も2009年まで務めるなど、教育者としての活動も行っています。その他、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞前事務局長、公益財団法人練馬区文化振興協会理事、日本アルバン・ベルク協会常任理事、森澄雄主宰の俳句結社『杉』同人など、様々な分野で活躍しました。

著書としては、サントリー時代の経験を基にした『「洋酒天国」とその時代』(2007年、筑摩書房)があります。この作品は、雑誌『洋酒天国』を通じて、当時の社会や文化、人々のライフスタイルを描き出し、第24回織田作之助賞を受賞しました。その他、山口瞳をテーマにした『「係長」山口瞳の処世術』、サントリーの経営者であった佐治敬三の評伝『佐治敬三　夢、大きく膨らませてみなはれ』、作家・開高健をテーマにした『開高健　生きた、書いた、ぶつかった! 』、エッセイ集『美酒と黄昏』などがあります。

小玉武は、サントリーという企業の中で、広告、広報、文化事業など多岐にわたる分野で才能を発揮しました。編集者としては、『洋酒天国』や『サントリークォータリー』といった雑誌を通じて、時代を捉えた情報発信を行い、文筆家としては、独自の視点から人物や時代を描き出しました。その活動は、日本の文化、広告、出版業界に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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