TBSブリタニカ

TBSブリタニカの歴史と展開

TBSブリタニカ（株式会社ティビーエス・ブリタニカ）は、日本における重要な出版社の一つであり、特にブリタニカ百科事典の日本語版に関する業務で知られています。1968年、アメリカのエンサイクロペディア・ブリタニカ（EB）社が東京放送（TBS）に対して、日本語版出版の提携を提案したことが、この会社の始まりでした。この提案に対し、TBSは1969年にTBSブリタニカを設立し、初期の資本金は2億5000万円でした。

最初の出資者は、EB社、TBS、凸版印刷であり、EB社が55%、TBSが40%、凸版印刷が5%の比率でした。社長にはTBS取締役の分部芳雄が就任し、代表権のない取締役会長にはTBS社長の今道潤三が就任しました。このように、設立当初からTBSの影響力が色濃く反映されていました。

ブリタニカ百科事典の日本語版である『ブリタニカ国際大百科事典』は、翻訳や書き換えに多くの時間を要しましたが、1972年5月に第1回配本が発刊され、1975年12月には全巻が完結しました。初版の売り上げは非常に好調で、1981年には販売数が50万セットを突破する人気を誇りました。販売方法は全国的な訪問販売を主な手法としており、広範な市場を確保していました。

TBSブリタニカはその後、教育や教養にフォーカスした総合出版社を目指します。ジョン・ケネス・ガルブレイスの『不確実性の時代』やエズラ・ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』といった数々のヒット作を出版し、TBSもこの関連で番組を制作するなど、メディアミックスを成功させていました。しかし、1981年にはTBS内部から、本業である放送により多くの資本を集中すべきとの意見が浮上し、TBSは自社の持株の一部をサントリーに売却しました。この結果、株式比率が変化し、TBSが持つ株式は13%に減少し、サントリーがそれ以降の経営権を握ることとなりました。それでも社名はTBSブリタニカのまま、百科事典の販売は続けられました。

さらに、1986年には「ニューズウィーク日本版」や「フィガロジャポン」といった様々な雑誌を創刊し、1992年には作家・開高健を讃えた「開高健賞」を設立しました。この賞は2001年まで続けられ、多くの読者や作家にとって名誉あるものでした。

2000年にはEB社が新たな日本法人を設立し、TBSブリタニカの事業もその傘下に移行しました。しかし2003年7月に阪急電鉄がTBSブリタニカの事業を買収することになり、これにより新たな出版社「阪急コミュニケーションズ」が誕生しました。2014年には事業再編が行われ、出版部門がCCCメディアハウスに引き継がれるという形で、TBSブリタニカとしての歴史は幕を閉じました。このように、TBSブリタニカは日本の出版業界において多くの影響を与えた企業であり、その背景にはTBSとの深い関係があります。

もう一度検索