小田急電鉄の荷物電車

小田急電鉄の荷物電車の歴史

小田急電鉄における荷物輸送は、1927年4月1日に小田原線が開業した際に始まりました。初めて手小荷物の輸送を行ったのは、荷物室を備えた101形電車でした。当時は、鉄道旅行において旅客は駅で手荷物を預け、旅客列車と同じ車両で荷物も運ばれていました。この時期、小田急では旅客と手荷物の同時輸送を考慮していたと考えられます。秋には増備の際、131形と151形の電車にも荷物室が設けられ、さらには荷物専用のモニ1形電車が登場しました。しかし、実際には旅客と手荷物の同時輸送の需要は低く、1929年には新たに開業した江ノ島線の車両には荷物室が設けられませんでした。

小田原線では当初、毎日2往復の荷物列車が運行されており、江ノ島線でも荷物輸送が始まりましたが、専用の荷物列車は存在せず旅客列車に荷物を乗せる形でした。さらに、1939年には逓信省からの要請を受けて郵便逓送業務が開始され、モニ1形の一部は郵便室を設置する改造が行われました。しかし、改造されなかった車両は1941年に廃車にされました。

戦後も荷物輸送は続きましたが、荷物の需要が増加したため、1957年にはデハ1100形から新たに1両が荷物車として改造され、デニ1100形として運行され始めました。特に学期の始まりや終わりには、2両や時には3両編成での運行も見受けられました。1955年には自動車の普及により定時輸送が困難になり、日本新聞協会などから新聞輸送の要請があり、保線担当者からの反対を押し切って、1955年から新聞の朝刊を鉄道で運ぶことが始まりました。1959年には夕刊の輸送も行われるようになりました。

1962年にはダイヤ改正が行われ、朝刊輸送は廃止されましたが、夕刊の運行区間は小田原まで延長され、以降は新たに1200形、1300形、1400形が使用されるようになりました。江ノ島線でも荷物列車の運行が始まり、1969年には1300形が荷物電車に改造されて運用されました。その後、1971年には郵便輸送が廃止され、荷物輸送は社用品の送付と兼用になりました。1973年に新宿駅が改良された際、荷物扱いホームが廃止され、運行区間も短縮されました。結果として、1976年には不要となった車両が廃車されていきました。

1984年3月21日には、荷物輸送はついに全廃となり、同月末までに社用品輸送も終了しました。このことで、小田急の荷物電車は全て歴史の一部となりました。

運行上の特徴

新宿駅では1973年まで貨物用のホームが存在し、トラックから荷物電車への積み込みが行われていました。また、一部の中間駅にも特別な荷物用ホームが設けられていました。小田原駅では、国鉄との荷物の中継が行われており、東海道本線のホームに乗り入れていました。

車両の特徴

荷物電車の車体色は旅客車両とは異なり、開業当初は青色でしたが、戦時中には茶色となり、戦後の1959年時点では緑色に塗装されていました。その後1960年代からは赤色に変更され、最終的には白い帯が追加されました。特定の荷物車両についても添付の記録があり、さまざまな改造を経て運行され続けました。

小田急における荷物電車の歴史は、輸送形態の変化や時代の流れを反映したものであり、多くの人々の生活を支えてきた重要な要素でした。荷物電車の全廃により、その役割は終わりましたが、鉄道貨物輸送の重要性は今もなお引き継がれています。

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