小田急4000形電車 (初代)

小田急4000形電車の概要

小田急4000形電車は、1966年から2005年まで運用されていた小田急電鉄の通勤車両である。この車両は、当時の輸送需要の急増に対応するために開発され、HB車と呼ばれる古い形式車両の主電動機を流用しつつ、車体と制御機器を新たに製造している。初登場時は非冷房の吊り掛け駆動方式であり、3両固定編成×22編成が製造された。1974年から76年にかけて一部編成が5両固定編成に変更され、最終的には92両が製造された。

開発の背景と経緯

小田急の開業時から利用されていたHB車は、1950年代後半に大規模な修繕が行われたものの、1960年代にはその機能が低下し、輸送需要が増加する中で役に立たなくなっていた。そこで、旧形式車両の電動機を再利用し、NHE車のような大型車体を新造することにした。このような経緯で誕生したのが4000形であり、車両の一部機器は旧型のものを流用しているが、ほとんどは新しく製造されたものである。

4000形は1966年以降、運用が開始され、当初は江ノ島線を中心に使用されていた。車両は全長20mであり、クハ4050形が先頭車、デハ4000形が中間車となっている。これにより、従来のHB車に比べて収容力が大幅に向上した。

車両の設計と仕様

4000形は、全金属製の車体を持ち、車体幅は2,900 mmである。正面デザインは、貫通型の3枚窓を採用しており、各車両には4箇所の客用扉が設置されている。外部の塗装は、当初はダークブルーとオレンジイエローの2色塗りであったが、1970年代以降はケイプアイボリーをベースにしたロイヤルブルーの帯が特徴の新標準色に変更された。車内はロングシートで、NHE車と同様の内装仕様を持つ。

主な機器と改造の歴史

主電動機は、HB車やABF車から流用した三菱電機製の直巻電動機が使われた。それらの電動機は、全て端子電圧750V、出力93.3kWで統一され、車両の性能向上に寄与した。制御装置は新たに開発されたもので、1C8M方式で8基の電動機を制御している。

1985年からの改造では、冷房化と性能向上が図られ、これに伴い主制御装置も流用されながらも新たな仕様に変更され、6両および4両固定編成への組成変更が行われた。これにより他の高性能車両と同様の運用が可能となり、最高速度も向上した。

運用と淘汰

4000形は、運用開始以来多くの改造を経ながらも通勤輸送の主力として活躍し続けた。しかし、2000年代に入ると新型車両の導入が進み、2003年からは3000形の増備に伴い段階的に運用から外されることとなった。2005年にはすべての車両が廃車となり、4000形は小田急の路線から姿を消した。

このように、小田急4000形電車は輸送力の強化と冷房化に対応した改革を経て、長い間にわたって多くの旅客を支え続けた歴史ある通勤車両であった。

もう一度検索