小石清

小石 清の生涯と業績

小石 清（こいし きよし、1908年3月26日 - 1957年7月7日）は、日本の戦前を代表する写真家として、その才能を発揮しました。しかし、彼の活動は戦争によって制限され、早逝という悲劇に見舞われました。

生い立ちと写真家としての歩み

大阪市で生まれた小石は、高級雑貨商の家庭に育ちました。高等小学校を卒業後、1922年には浅沼商会大阪支店に入社し、ここで本格的に写真技術を学びました。1928年に浪華写真倶楽部に入会し、写真愛好家としての道を歩み始めます。その後、1931年には大阪に自身のスタジオを開設し、独立した写真家となります。

1930年代には数多くの展覧会で入選し、特に1932年には自身の詩と写真を収めた「初夏神経」を浪展に出品します。翌年にはこの作品がジンク板の表紙を飾り、リング閉じで出版されました。また、1936年には前衛写真の手法を集大成した解説書「撮影・作画の新技法」を発表し、写真界において注目を集めます。

戦争と作品

1938年には、政府により発行された写真情報誌「写真週報」の写真を担当し、日中戦争に従軍写真家として赴き、その時の作品をまとめた連作「半世界」(1940年)を発表します。この作品では前衛的な手法を用い、斬新な表現を試みましたが、その後の戦時中、小石の作品は制約を受けることになりました。それでも1939年には南支で現地住民の写真を撮影し、『南支人の相貌』という作品を雑誌「カメラ」に発表しました。

戦後の活動と晩年

戦後、小石は福岡県門司市に移り、「小石カメラ」というカメラ店を創業しました。門司鉄道管理局に嘱託として関わりながらも、写真家としての活動はいくらか減少しました。晩年には、かつての情熱が薄れていると感じていたことを語っており、それでも「続半世界」の発表やその后的な構想を持っていたことは彼の創作意欲の証とも言えます。

1957年7月7日、小石は門司駅で転倒し、頭を打ったことが原因で亡くなります。彼は生前、酒を好んでいたため、メチルアルコールの影響で視力が低下していたとも言われています。彼の死の直前には内田百閒の取材に同行し、その貴重な瞬間を写真に残しました。

後世への影響

小石の作品は、戦前の日本において多様なスタイルを持つ写真家として認知されています。特に1933年に発表された『初夏神経』は、装丁や技術において、日本の戦前の写真集の一つの到達点との評価を受けています。

彼の作品は芸術写真から報道写真まで幅広く、各ジャンルにおいて優れた技術を使用していました。

展覧会と文献

小石の業績を称えるために、以下のような展覧会が開催されています：

• - 小石清と浪華写真倶楽部展（1988年、兵庫県立近代美術館）
• - 大阪府20世紀美術コレクション 小石清展（2009年、大阪府立現代美術センター）

また、参考文献としては『初夏神経』や『撮影・作画の新技法』などが挙げられ、彼の業績が後世に伝えられています。

小石清の作品とその生涯は、戦前の日本の写真史における重要な一ページを刻んでいます。

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