小笠原政長

小笠原政長：南北朝時代を駆け抜けた信濃の武将

小笠原政長は、南北朝時代の武将であり、信濃小笠原氏の当主としてその名を歴史に刻みました。父は小笠原貞宗。激動の時代を、彼はどのように生きたのでしょうか。

生涯：動乱の時代を生き抜く

政長は、父貞宗とともに足利尊氏に従い、北朝方の武将として各地を転戦しました。その生涯は、まさに戦乱の時代を象徴するものと言えるでしょう。

1345年、父から信濃守護職と、小笠原氏惣領の主要な所領を譲られ、家督を継承しました。同年には、後醍醐天皇の七回忌供養に際し、北朝方の武士として参列。一族を率いて存在感を示しました。

1347年には、父の死を受けて足利尊氏から改めて所領を安堵されます。

観応の擾乱と政長の苦悩

観応の擾乱では、当初は尊氏・高師直方についた政長でしたが、信濃国内での足利直義方の攻勢が激化すると、形勢不利と見て直義方に降ります。しかし、その結果、守護職を解任され、諏訪・祢津らによる攻勢に苦しむことになります。

一度は裏切った政長に対し、尊氏は再び味方になるよう働きかけます。そして、1351年8月には尊氏方に復帰、再び守護職に任じられ、上杉藤成旧領の伊那春近領を安堵されました。

尊氏方としての活躍

南朝から直義追討の院宣を得た尊氏が鎌倉に拠った直義を討つために出陣すると、政長は尊氏軍の先鋒として遠江国に出兵。直義方の吉良満貞の軍勢を破り、薩埵峠の戦いでは上杉能憲と交戦しました。

同年12月には信濃に戻り、諏訪直頼、祢津宗貞の軍を破るなど、その武勇を示しました。

家督譲渡と晩年

1352年、政長は家督を長男の長基に譲ります。ただし、長基はまだ幼少であったため、実質的には政長が引き続き実権を握っていたと考えられています。

1355年、足利尊氏に従い、足利直冬の軍を攻めました。また同年、信濃宮宗良親王が挙兵すると、長基と共に鎮圧に当たりました。この戦いの詳細は不明な点が多いものの、北朝方の勝利に終わったと考えられています。

その後も、政長は領国である信濃の平定に尽力し、1365年に47歳で没しました。著書に「軍術兵用記」があります。

小笠原政長は、激動の南北朝時代を、その才覚と武勇で生き抜いた武将でした。彼の生涯は、時代の波に翻弄されながらも、自らの信念を貫き、領国を守り抜いた姿を私たちに教えてくれます。

もう一度検索