小笠原諸島西方沖地震 (2015年)

小笠原諸島西方沖地震の概要

2015年5月30日20時23分に発生した小笠原諸島西方沖地震は、マグニチュード8.1の大地震で、日本付近で記録された深発地震としては最大の規模を誇ります。震源の深さは682 kmであり、過去の地震観測において最も深く、また全国47都道府県で震度1以上の揺れが観測されたのは初めてのことです。

震源とその特性

この地震は、北緯27度51.6分、東経140度40.9分の地点を震源としており、震源の深さは682 kmに達しました。気象庁によるマグニチュードはMj8.1とされ、モーメントマグニチュードではMw7.9と評価されています。津波の発生はなく、地震の発生メカニズムは東西方向に張力軸を持つ型であることが示されています。発生した断層は40 km×40 kmの範囲に及び、最大ずれは約6 mとされています。

深発地震の影響

小笠原諸島西方沖では、太平洋プレートがほぼ垂直に沈み込んでおり、そのプレートが下部マントルに達する前に破断したことによって今回の深発地震が引き起こされたと考えられています。また、発震の際には、異常震域が生じ、地盤が弱い地域で特に強い揺れが観測されました。例えば、母島や神奈川県二宮町では震度5強が記録され、関東地方全体で震度4の揺れが観測されています。

震度の記録と影響

震度4以上の揺れを感じた地域には、埼玉県鴻巣市・春日部市・宮代町があり、全国の47都道府県で震度1以上を観測するという前代未聞の事態が発生しました。この震度の記録は気象庁が震度観測を開始した1885年以来のことであり、歴史的な出来事といえるでしょう。

余震活動

地震発生後、余震も観測され、特に21時46分にはM3.6の余震が発生しました。これは震源深度698 kmというさらに深い地点からのもので、日本で観測された最も深い余震となりました。また、最大余震は6月3日にM5.6の揺れを伴い、震度1を記録しました。

被害状況

人的・物的被害はほとんどありませんでしたが、首都圏ではエレベーターが緊急停止し、公共交通機関にも影響が及びました。東京、神奈川、埼玉では13人が軽傷を負い、一時的に600世帯ほどが停電しました。エレベーター利用者の閉じ込め事例もあり、国土交通省は非常時の対策について協議しました。

長周期地震動と緊急速報

また、長周期地震動も観測され、この点についてもさらなる研究が必要とされています。気象庁は地震波の検知から約3.4秒後の20時24分26.1秒に緊急地震速報を発表しましたが、深発地震の特性から正確な震度予測は難しいとの認識も示しました。

この地震は、地質学的にも興味深い事例であり、今後の研究によってそのメカニズムや影響について更なる理解が深まることが期待されます。

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