小笠原長幸

小笠原長幸

小笠原長幸（おがさわら おさゆき）は、江戸時代後期に幕府に仕えた旗本です。小笠原氏は、寛政譜によれば小笠原吉次の子孫とされています。父は旗本である小笠原長直であり、長幸もまた幕臣としてその生涯を幕政に捧げました。

経歴

明和6年（1769年）に勘定の職に就き、幕臣としてのキャリアをスタートさせました。天明3年（1783年）以降は、利根川や濃尾平野周辺の川普請（治水工事）や、畿内天領における作柄調査などの重要な御用を数多く務めました。これらの業務を通じて、幕府の財政や民政に貢献し、その能力を高く評価されました。

天明8年（1788年）には、勘定組頭へと昇進しました。寛政4年（1792年）には、関東における川普請御用での功績が認められ、黄金3枚を拝領するという栄誉に浴しました。これは、彼の治水事業における貢献が幕府から高く評価された証と言えるでしょう。

寛政5年（1793年）に父・長直から廩米（くらまい）150俵の家督を相続し、家督を継ぎました。寛政8年（1796年）には、勘定吟味役という役職に就任し、幕府の財政をより詳細に監査する役割を担いました。そして、寛政12年（1800年）には、勘定奉行（勝手方）に就任し、500石に加増されました。勘定奉行は、幕府の財政運営を担う非常に重要な役職であり、長幸の能力と実績が幕府から高く評価されていたことがわかります。

文化5年（1808年）には、蝦夷地御用を命じられ、北方の警備や開発にも携わることになりました。文化9年（1812年）には、松前奉行に任命され、蝦夷地（現在の北海道）の統治を任されました。しかし、松前において在任中に没しました。彼の死は、幕府にとって大きな損失であったと考えられます。

人物

小笠原長幸は、勘定奉行として、幕府の財政を支える重要な役割を担いました。利根川や濃尾平野の治水事業、畿内天領の作柄調査、蝦夷地の統治など、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、幕府に大きく貢献しました。彼の功績は、江戸時代の幕政史において特筆すべきものと言えるでしょう。

参考文献

「徳川幕臣人名辞典」 東京堂出版 2010年
寛政重修諸家譜 巻第千二百四十三

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