小紅の渡し

小紅の渡し（おべにのわたし）

小紅の渡しは、岐阜県岐阜市の長良川で運営されている渡し船です。この渡し船は、岐阜県道173号文殊茶屋新田線の一部として利用されており、県から岐阜市を経由して小紅渡船船頭組合が運航を任されています。利用は無料であり、多くの人々に親しまれています。

基本情報と運航

この渡し船は、岐阜市の一日市場三丁目と鏡島（鏡島弘法乙津寺北）との間を結んでいます。鏡島大橋と河渡橋のほぼ中間地点に位置しており、毎週曜日ごとに異なる船頭が担当して運航しています。2022年9月の時点では、3人の船頭が交代で運営しており、日々の利用者数は2から4人程度ですが、特に毎月21日の瑞甲山乙津寺の命日には多くの参拝者が訪れ、利用者は200人以上に達することもあります。

近年は、通勤や通学者に加えて、観光客や参拝者の利用が大半を占めており、特に船から眺める岐阜城の美しい景観が高く評価されています。以前使用していた木製の舟は、船外機付きの繊維強化プラスチック製の船に変更され、プロペラでの航行が行われていますが、発進や着岸時には漕ぎ竿を使うスタイルも継承されています。

定員は10人で、さらには利用者には救命胴衣の着用が義務付けられています。また、自転車の積載も可能で、わずか2から3分の短い航行時間で渡船を利用することができます。

歴史的背景

小紅の渡しの創立については、詳細な記録は残っていないものの、江戸時代の1653年に作成された『加納領明細絵図』にて当時すでに渡船場の存在が確認されています。その名が初めて文献に見られるのは1692年のことで、由来についてはいくつかの説があります。

一説には、お紅という名の女性船頭が由来だとされ、また別の説では川を渡る花嫁が顔を直すために川面に映った姿を見ていたことが関係するとも言われています。その中には近くに多くの紅が生えていたことから名付けられたという説もあります。

1760年代には周辺の村が渡しの維持費を出し合って運営を行い、1959年に一日市場が岐阜市に編入された際には無料化が実施されました。

運航詳細とアクセス

小紅の渡しは、4月から9月の間は午前8時から午後5時まで、10月から3月は午前8時から午後4時30分まで運航されています。運休日は毎週月曜日や年末の特定日となっており、悪天候時や増水の際は運航が中止され、その場合は渡船小屋に赤旗が掲揚されます。

一日市場側へのアクセスは、JR岐阜駅の8番乗り場または岐阜バスターミナルのC乗り場から「O36・O37東改田」行きのバスを利用し、約25分の乗車で「一日市場」で下車後、徒歩約5分で到着します。鏡島側へのアクセスは同駅の7番乗り場や名鉄岐阜駅の3番乗り場から「G51西鏡島」行きのバスが利用でき、所要時間は約20分です。

メディアにおける取り上げ

小紅の渡しは演歌歌手の真木柚布子による「越中恋歌」などにもテーマとして取り上げられており、1990年代には岐阜放送による特番で特集されるなど、地域の重要な文化資源の一つとして認識されています。この渡し船を訪れることで、岐阜の自然や歴史に触れながら、心地良いひとときを過ごすことができるでしょう。

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