小野一一郎

小野一一郎（おの かずいちろう）は、1925年10月10日に大阪市で生まれ、1996年12月7日に逝去した、著名な経済学者です。京都大学の名誉教授であり、その研究は、開発経済学、国際経済学、そして日本経済史にまで及びました。彼の業績は、学術界だけでなく、社会全体に大きな影響を与えました。

生涯と学歴

小野一一郎は、1949年に京都帝国大学経済学部を卒業後、大阪市立大学経済研究所に入所しました。その後、1951年には京都大学の助手となり、1956年には助教授、1970年には教授に昇進しました。京都大学では、長年にわたり教鞭をとり、多くの優秀な経済学者を育成しました。1989年に定年退官し、京都大学名誉教授の称号を授与されました。その後は、阪南大学で教授を務め、後進の指導にあたりました。

研究業績

小野一一郎の研究は多岐にわたりますが、特に以下の分野で顕著な業績を残しました。

開発経済学: ブラジル移民に関する実態調査は、初期の研究における重要な成果の一つです。この研究は、移民問題に対する経済学的な視点を提供しました。
国際経済学: 近代日本幣制と東アジア銀貨圏、日本資本主義と貿易問題、資本輸出・開発と移民問題など、国際的な経済関係についての研究を行いました。これらの研究は、当時の世界経済の動向を理解する上で非常に重要でした。
* 日本経済史: 戦間期の日本帝国主義に関する研究は、日本の経済発展の歴史を分析する上で重要な視点を提供しました。

著作と編著

小野一一郎は、数多くの著書や編著を執筆しました。主な著書には、『ブラジル移民実態調査』（1955年）、『小野一一郎著作集』（2000年）などがあります。また、『世界経済と帝国主義』（1973年）、『南北問題入門』（1979年）、『両大戦間期のアジアと日本』（1979年）、『南北問題の経済学』（1981年）、『戦間期の日本帝国主義』（1985年）などの編著では、共同研究者と共に、世界経済や南北問題、日本経済史などのテーマに取り組みました。これらの著作は、学術的な貢献だけでなく、社会的な問題に対する理解を深める上で重要な役割を果たしました。

翻訳

小野一一郎は、海外の経済学の著作を翻訳することにも尽力しました。特に、モーリス・ドツブの『後進国の経済発展と経済機構』（1956年）や、A.I.ブルームフィールドの『金本位制と国際金融 1880-1914年』（1975年）の翻訳は、日本の経済学界に大きな影響を与えました。これらの翻訳を通じて、海外の最先端の研究成果が日本に紹介され、日本の経済学の発展に貢献しました。

小野一一郎は、その生涯を通じて、経済学の研究と教育に情熱を注ぎました。彼の業績は、現代の経済学研究においても重要な基盤となっており、後世に大きな影響を与え続けています。

もう一度検索