小野学 (スキージャンプ)

小野学:日本のスキージャンプ界を牽引した指導者



小野学(おの まなぶ)は、1950年9月14日に長野県下高井郡山ノ内町湯田中温泉で生まれ、2010年7月3日にその生涯を閉じました。彼は、スキージャンプ選手としてだけでなく、指導者としても日本スキージャンプ界に多大な貢献を果たした人物です。

生い立ちと選手としてのキャリア



小野学は、湯田中温泉の老舗旅館「よろづや」の次男として誕生しました。実家は現在も旅館を経営しています。長野県長野高等学校を卒業後、慶應義塾大学商学部に進学。大学時代には、全日本学生スキー選手権大会で2度優勝するなど、選手としての才能を開花させました。大学卒業後は日本楽器に入社し、1976年には全日本選手権70メートル級で優勝を果たしました。

その後、1977年に地元の北野建設に移籍し、1980年に現役を引退するまで、数々の大会で好成績を収めました。特に、国民体育大会では、成年二部で優勝、雪印杯ジャンプ大会では準優勝という実績を残しています。選手としてのキャリアを通じて、小野は持ち前の身体能力と技術の高さを証明しました。

指導者としての輝かしい功績



現役引退後、小野は指導者の道へ進みました。1984年から全日本スキー連盟ノルディックスキーナショナルチームのジャンプコーチを兼任し、1992年から2000年までの長きにわたり、ナショナルチームのヘッドコーチを務めました。この期間、リレハンメルオリンピック、長野オリンピックなど、数々の国際大会で日本代表を率い、日本のスキージャンプ黄金時代を築き上げました。

特に、1998年の長野オリンピックでは、船木和喜選手がラージヒルで金メダル、原田雅彦選手が銅メダルを獲得、さらに団体競技では金メダルを獲得し、日本中を熱狂させました。この時のメンバーは、岡部孝信、斎藤浩哉、船木和喜原田雅彦という錚々たるメンバーでした。

小野は、選手個々の才能を見抜き、適切な指導を行うことで、チーム全体のレベルアップに貢献しました。また、技術指導だけでなく、メンタル面もサポートすることで、選手たちが最大限の力を発揮できるように努めました。

V字ジャンプの導入と科学的分析



小野の指導者としての功績の一つに、V字ジャンプの導入があります。1991-92シーズンのスキージャンプ週間で、V字ジャンプが世界の主流になっていることを確認した小野は、自ら英語の文献を読み解き、その技術を習得しました。そして、日本選手にV字ジャンプを指導し、日本のジャンプ技術を飛躍的に向上させました。

また、小野はジャンプの科学的分析にも力を注ぎました。踏み切りの画像解析システムなどを開発し、選手の強化に役立てました。この革新的なアプローチは、日本のジャンプ界を大きく前進させました。

指導者としての姿勢と晩年



コーチとして多忙な日々を送る傍ら、小野は自らも競技を続け、国体成年Cで5度優勝するなど、模範を示しました。また、国際スキー連盟の技術委員なども歴任し、国際的な視点からもジャンプ競技の発展に貢献しました。

2010年のバンクーバーオリンピックでは、テレビ中継の解説を担当しました。その年の7月3日、呼吸器不全のため、惜しまれつつもこの世を去りました。小野学の功績は、日本のスキージャンプ界において、今後も語り継がれることでしょう。

主な優勝歴



1973年1月:第46回全日本学生スキー選手権大会二部
1976年2月:第54回全日本スキー選手権大会(70m級)
1977年2月:第27回秩父宮賜杯スキー大会
1980年1月:第21回雪印杯全日本ジャンプ大会
1980年2月:第35回国民体育大会冬季大会成年二部
1986年2月:第41回国民体育大会冬季大会成年三部
1987年2月:第42回国民体育大会冬季大会成年C
1989年2月:第44回国民体育大会冬季大会成年C
1991年2月:第46回国民体育大会冬季大会成年C
1992年3月:第47回国民体育大会冬季大会成年C

主な受賞歴



1995年:ミズノスポーツメントール賞 ゴールド
1997年:JOC[[スポーツ賞]] 特別功労賞

著書



「何故V字で飛ぶか」(小学館文庫,1998年
「ジャパンマジック―金メダルへのフライト」

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