小野晃

小野晃の生涯とその業績

小野晃（おの あきら、1931年11月29日 - 1988年1月26日）は、日本の地球物理学者として知られ、大気物理学の分野で顕著な貢献を果たしました。長野県東筑摩郡塩尻町（現在の塩尻市）に生まれた彼は、1956年に東京大学理学部物理学科を卒業し、その後、同大学院で地球物理学を学ぶ道を選びました。彼の専門領域は、自然の氷晶核や人工降雨を研究するものへと発展し、特に雲物理学の分野で多くの注目を集めました。

1961年には、東京大学理学部助手として活動を開始し、土壌粒子や火山灰の研究に取り組みました。彼はその後、1966年から1969年にかけてオーストラリアのCSIROに滞在し、モソップ博士と共に雲中の氷晶に関する観測を行い、大きな成果を上げました。この期間中、ビッグ博士とも協力して大気のエアロゾル粒子に関する研究に着手しました。

1969年には、気象庁気象研究所に移り、研究官や研究室長としての職務に従事しました。その間、彼は名古屋大学水圏科学研究所の教授にも就任し、大学院生の指導と並行して研究を続けました。特筆すべきは、彼が開発した個々の硫酸塩粒子と硝酸塩粒子を同定するための試薬薄膜法です。この技術は、成層圏におけるエアロゾルの組成や、海上の微小な硫酸粒子、そして都市大気中の硝酸塩粒子の形成といった、大気中の化学反応を粒子レベルで解析することを可能にしました。これらの業績が評価され、彼は1988年度の日本気象学会賞を受賞しました。

晩年には、腎臓の病気を患い治療を続けながらも、地球規模の大気化学研究計画であるIGACの実現に向けた努力を惜しみませんでした。しかし、1988年1月26日、心不全のために56歳でこの世を去りました。

小野晃の人柄は、非常に真面目で正義感に満ち、穏やかで誠実なものでした。彼は会話の際に「それでいいんじゃないですか。」という言葉を好んで使い、その言葉に励まされた多くの人々が存在しています。彼の業績と人柄は、今もなお多くの人々に影響を与えています。彼の姿勢や研究成果は、次世代の研究者たちに勇気を与え、引き続き大気物理学の分野で活かされていることでしょう。

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