小野田又蔵

小野田 又蔵について

小野田 又蔵（おのだ またぞう）、1855年2月8日生まれ、1939年6月13日没。愛知県みよし市明知町出身の堂宮大工として、明治から大正期にかけて、愛知県を中心に滋賀県でも多数の寺院や神社の建築を手掛けました。温厚で忍耐強い性格も特徴です。

経歴の始まり

安政2年（1855年）、三河国加茂郡明知村に生まれた小野田又蔵は、父の小野田菊蔵のもとで育ちました。18歳の時、1873年（明治6年）に棟梁・石川貞助の弟子となり、大工としての道を歩み始めます。弟子の中には、後に名を馳せる加藤米次郎もいました。

石川の指導のもと、又蔵は数年かけて技能を磨き、神社の祭礼に使われる山車の製作などを手掛けました。1879年（明治12年）、師の死去により独立し、1880年には明知神明宮の拝殿の建設を行い、初代棟梁としての地位を確立しました。

成功と拡大

又蔵は明知神明宮の拝殿に続いて、近隣の打越神明社などさまざまな神社の建築を手がけていきます。1884年には初めて豊田市域での仕事として西雲寺の鐘楼を担当しました。この頃から、彼の建築は規模を拡大し、寺院や神社の本堂や拝殿など大規模な作品にも挑戦するようになります。

1891年（明治24年）ごろから活動の範囲を広げ、安城、刈谷、名古屋といった地域でも建築を手掛け、その名を知られるようになります。特に1895年に上棟した知立町の萬福寺本堂は、荘厳さや美しさが称賛されました。

晩年と影響

次第に建築家としてだけでなく、次世代の大工を育成する役割も担うようになりました。1912年以降は自身での造営は減り、弟子の指導に力を入れました。1909年には、生活の地元に「小野田又蔵碑」が建立され、22人の弟子の名前も刻まれました。

1939年に歿した後も、又蔵の業績は評価され続けています。彼が手がけた明知神明宮拝殿は1973年に取り壊されましたが、他の作品は指定文化財として大切にされています。特に三好上区山車は1981年に文化財に認定され、その後も地域の歴史を象徴する存在となっています。

1991年には三好町立歴史民俗資料館で特別展が開催され、堂宮大工としての業績と影響力が広く知られることとなりました。彼の生涯を通じ、建築技術だけでなく、地域に与えた影響の大きさも理解されるようになっています。

まとめ

小野田又蔵は、明治・大正期の堂宮大工として、数多くの重要な建築物を残しました。彼の温和な性格と深い職人技は、多くの弟子たちに受け継がれ、今も愛知の地にその痕跡を留めています。

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