小野良真

小野良実（おの の よしざね、生没年不詳）は、平安時代に存在したとされる人物で、郡司であったと伝えられています。一部資料では「良真」とも表記されます。

系譜

室町時代後期に成立した『尊卑分脈』の小野氏系図にその名が記されており、異本には「当澄」または「常澄」という別名も記載されています。小野篁の子とされ、娘には美貌で知られる歌人、小野小町がいたとされています。

官位

『尊卑分脈』における小野良実の官位は出羽守です。中世には、小町を出羽郡司の娘とする説が存在しましたが、これは小野篁との系譜を結びつける際に、公卿である篁の子が郡司であることの不自然さを解消するための改変であると考えられます。また、小町が篁の孫とするには時代が合わないという問題もありました。

郡司としての出自

「良真が出羽郡司として赴任中に、地元の女性との間に小町が生まれた」という記述が見られますが、郡司はその土地の有力者が世襲的に任命されるものであり、国司との混同である可能性が高いです。

小野良実の存在意義

『尊卑分脈』は通常、女性の記述を省略しますが、良実の娘である小町については特記しています。このことから、良実の存在は、小野小町を語る上で行われた歌学の伝承に由来するものと考えられます。

このように、小野良実は、小野小町の父として、また小野篁の子として、系譜上の重要な位置を占めています。彼の存在は、小野小町に関する様々な説話や伝承と深く結びついており、その実像は謎に包まれています。

参考文献
* 片桐洋一『小野小町追跡―「小町集」による小町説話の研究』（新装版）笠間書院、1975年4月5日。ISBN 978-4-305-70781-9。

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