小針智意子

小針智意子（こばり ちいこ）

日本の合唱指揮者。

来歴

福島県石川町出身。大学で声楽を専攻後、福島県の音楽科教諭として教鞭を執る。2003年（平成15年）4月、郡山市立郡山第二中学校に赴任。同校合唱部を指揮・指導し、全日本合唱コンクール全国大会中学校部門混声合唱の部において、赴任初年度から7年連続で金賞を受賞、さらに6年連続で最高賞である文部大臣奨励賞を受賞するという偉業を達成。NHK全国学校音楽コンクール全国大会でも2008、09年の2年連続で金賞を受賞。声楽アンサンブルコンテスト全国大会でも2009、10年の2年連続で本選第1位を獲得。

2010年（平成22年）4月、郡山市立郡山第五中学校に異動。同校合唱部でもその手腕を発揮し、全日本合唱コンクール全国大会中学校部門混声合唱の部・同声合唱の部の両部門で、2011年（平成23年）から8年連続で金賞を受賞。さらに、2013年（平成25年）から4年連続で最高賞の文部大臣奨励賞を受賞。NHK全国学校音楽コンクール全国大会では、銀賞3回、銅賞1回を受賞。声楽アンサンブルコンテスト全国大会では、本選第1位を5回受賞。2018年度の卒業式では、生徒たちとアカペラで「仰げば尊し」を合唱し、感動を呼んだ。

2019年（平成31年）4月、郡山市立郡山第一中学校に赴任。同校合唱部を指導し、全日本合唱コンクール全国大会中学校部門混声合唱の部・同声合唱の部の両部門において、同年度から4大会連続で金賞を受賞。さらに、2021、22年には最高賞である文部科学奨励賞を受賞。NHK全国学校音楽コンクール全国大会では、銅賞を2回受賞。声楽アンサンブルコンテスト全国大会では、本選第1位を2回受賞。

2024年（令和6年）3月末に教員を退職。

現在は、一般団体「季の音」を指揮・指導する傍ら、「合唱塾」で小中高生を指導。福島県合唱連盟副理事長も務める。全日本合唱連盟のワークショップや、ソウルで開催された世界合唱シンポジウムで講師を務めるなど、その活動は多岐にわたる。

音楽

小針の音楽の原点は、小・中学生時代に所属していた学校の管弦楽部での経験にある。同部が合唱も兼ねていたことが、彼女の合唱への情熱を育むきっかけとなった。

選曲においては、「初めて合唱に出会う生徒たちに歌ってほしい曲、歌いながら心を揺さぶられるような美しいメロディーラインをもつ曲」を重視。ヴィヴァルディ、モーツァルト、プーランク、ラインベルガーなど、バロック後期からロマン派の楽曲を得意とし、現代曲が主流の中学校合唱界において、独自の路線を歩んでいる。また、赴任校の多くに管弦楽部が存在したことから、各コンクールで管弦楽を伴う演奏を積極的に取り入れている。

この姿勢は初期から徹底しており、1992年（平成4年）の全日本合唱コンクール全国大会（中学校部門が新設されて2年目）で、白河市立白河中央中学校合唱部を指揮して初出場した際の自由曲は、ヴィヴァルディの「Gloria」。1994年（平成6年）には、モーツァルトの「Missa Brevis」を弦楽伴奏で演奏し、金賞を受賞した。

福島県は「合唱王国」として知られるが、小針はその代表的な指導者の一人。合唱指揮者の辻秀幸は、小針を「東北の合唱文化の中で自然に育まれた理想的な合唱指導者」と評し、その指導の説得力と誠実さを称賛している。小針の指導は、妥協を許さない厳しさを持つ一方で、「子どもたちの可能性を最大限に引き出したい」という強い思いに貫かれている。辻は彼女の指導を「まさに合唱千本ノック」と表現するほど、情熱的な指導で知られている。

脚注

参照文献
「ひと　小針智意子さん」 - 朝日新聞2008年10月27日付朝刊
「第25回コーラスワークショップin仙台「もっとできる、もっと伸びる！」小針智意子教室「初めての合唱を本格的に」」- 社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.173、2015年7月10日発行。
* 「今こそ語り継ぎたい名曲30 「Ave verum corpus」」- 社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.179、2017年1月10日発行。

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