小鉄

小鉄（こてつ）は、1891年10月15日に神奈川県横浜市で生まれた、大相撲の元呼出です。本名を藤井栄司といい、伊勢ヶ濱部屋に所属していました。

来歴

1908年、当時名人として知られていた長谷川勘太郎に師事し、初土俵を踏みました。入門時、既に栄次郎という呼出がいたため、小柄だったことと兄弟子の名前から一字を取り、「小鉄」と命名されました。

戦後、小鉄は立呼出（当時の非公式な呼称で、現在の番付制とは異なります）として、多賀之丞と交代で結びの一番を呼び上げるようになりました。その美声は非常に評価が高く、太鼓の名人である太郎とともに、栃若時代を代表する名呼出として広く知られるようになりました。

1961年1月、相撲協会は定年制を導入し、小鉄は69歳で退職する予定でした。しかし、彼の引退を惜しむファンからの投書が相撲協会に多数寄せられたため、特例として伊勢ヶ濱部屋所属のまま現役を2年間延長することが認められました。そして、1963年1月場所の千秋楽をもって、惜しまれつつ引退しました。

引退時の最高位は順席6人目でした。これは、本来の定年退職予定であった1961年1月場所時点のもので、番付制導入以前の名鑑に基づくものです。

引退後も、小鉄は各地の寄席やイベントに招かれ、その美しい声を披露し続けました。多くの人々が、彼の魅力的な声に耳を傾けました。

1967年12月22日、小鉄は心筋梗塞のため、東京都江戸川区の病院で息を引き取りました。76歳でした。

小鉄は、大相撲の世界でその名声を確立しただけでなく、その人間性と美声で多くの人々に愛された人物でした。彼の功績は、今もなお語り継がれています。

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