小長谷有紀

小長谷有紀について

小長谷有紀（こながや ゆき）は、1957年に大阪府豊中市で生まれた日本の文化人類学者です。彼女は、文化人類学の専門家として、また国立民族学博物館の名誉教授として知られています。さらに、中部大学創発学術院の客員教授として、公益財団法人東洋文庫の研究員としても活動しています。彼女の研究の中心は、モンゴルおよび中央アジアの遊牧文化に関するものであり、これまで数多くの業績を成し遂げてきました。

学歴と経歴

京都大学文学部史学科を卒業した小長谷は、1979年にモンゴル国立大学に留学します。当時、モンゴルは社会主義体制下にあり、彼女は日本人女性として初めての留学生となりました。1981年に京都大学を卒業後、同大学の大学院に進学しましたが、1986年には博士課程を満期退学しています。その後、1987年から国立民族学博物館の助手に就任し、国立民族学博物館でのキャリアをスタートさせました。

国立民族学博物館では、1993年に助教授、2003年から教授となり、2004年には研究戦略センターの教授に就任します。更に、2007年にはセンター長、2009年からは民族社会研究部部長を務めました。2014年には人間文化研究機構の理事に就任し、2018年から2023年にかけて独立行政法人日本学術振興会の監事をつとめました。2019年には同館を退職し、その後名誉教授となり、現在も学術界で活躍しています。

受賞歴と栄典

小長谷はその業績に対して多くの賞を受けており、2007年にはモンゴル国から友好勲章を授与されました。2009年には大同生命地域研究奨励賞を受賞、また2013年には紫綬褒章を受けました。さらに、2016年にはゆとろぎ賞、2022年にはモンゴル国から北極星勲章を受けています。

研究内容

小長谷の研究分野は主に牧畜文化論であり、モンゴルや中央・北アジア地域を対象に、遊牧文化の人類学的な側面に焦点を当てています。彼女の研究テーマには、モンゴルや草原の環境問題や、社会主義体制下での人々の生活などが含まれています。また、20世紀の同時代史についても考察を行い、研究者としての経験をもとに、社会体制や文化の変遷を深く分析しています。

さらに、国立民族学博物館に在籍していた梅棹忠夫に対する考察も行っており、様々な企画に参加して影響を受けた様子を語っています。彼女は特別展「ウメサオタダオ展」の実行委員長も務め、梅棹との関係が持つ意義を伝えています。

主な著作

小長谷の著作には、多くの単著があり、代表的な作品には『モンゴルの春：人類学スケッチ・ブック』（1991年）や『モンゴル草原の生活世界』（1996年）、『モンゴルの二十世紀：社会主義を生きた人びとの証言』（2004年）などがあります。これらの作品を通じて、彼女はモンゴルの文化や社会、歴史について深く掘り下げています。また、編集者としても多様なタイトルに関与しており、遊牧文化や地域研究の発展に貢献しています。

彼女の研究と著作は、日本におけるモンゴル文化の理解を深める上で重要な役割を果たしており、今後もその研究成果は多くの人々に影響を与えることでしょう。

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