少弐政興

少弐政興（しょうに まさおき）

少弐政興は、戦国時代から安土桃山時代にかけて生きた武将です。少弐資元の三男として生まれました。

生涯

永禄2年（1559年）、二人の兄（冬尚・千葉胤頼）が龍造寺隆信によって討たれるという悲劇に見舞われます。その後、政興は馬場鑑周（馬場政員の子で馬場頼周の孫）の庇護を受け、筑紫栄門や横岳氏らの協力を得て、綾部城（少弐山城）に擁立され、少弐氏の再興を目指すことになります。大友義鎮とも連携し、勢力拡大を図りました。

永禄6年（1563年）からは、馬場鑑周の支援のもと、有馬晴純、波多鎮、大村純忠、多久宗利、西郷純尚といった肥前国の諸将と共に、宿敵・龍造寺氏との激しい戦いを繰り広げます。しかし、翌永禄7年（1564年）、肥前中野城に籠城するも、龍造寺勢の猛攻に耐えきれず、馬場鑑周も降伏。これにより、少弐氏再興の望みは打ち砕かれることとなりました（降伏時期については永禄8年とする説もあります）。

龍造寺隆信もこの戦いでは大いに苦戦し、多くの犠牲者が出たと伝えられています。このことからも、政興の武勇が優れていたことがうかがえます。

少弐氏再興の夢が潰えた後、政興は九州を離れ、大友氏の故地である引地ガ沢（現在の神奈川県大和市）に移り住んだという説がありますが、定かではありません。降伏から8年後の元亀3年（1572年）には、龍造寺軍が再び東肥前の政興を攻め、筑紫氏や横岳氏をも攻撃したという記録も残っています。また、天正4年（1576年）には、大友宗麟（義鎮）の命により、五条鎮定が政興に協力するため派遣されたという記述や、政興が五条鎮定に対し肥前国巨勢の地の安堵状を発給した記録も存在しており、その後の動向は依然として不明瞭な部分が多いです。

再興の望みが絶たれた時の政興の落胆ぶりは並大抵ではなかったと伝えられていますが、命は助けられ、その後出家したとされています。

人物像

少弐政興は、少弐氏再興という悲願を抱き、龍造寺隆信に果敢に挑んだ武将でした。志半ばで夢は潰えましたが、その武勇は敵である龍造寺隆信を苦しめたことからも明らかです。再興に失敗してからの消息ははっきりとしていませんが、その波乱に満ちた生涯は、多くの謎に包まれています。

参考文献

『歴代鎮西志』
『肥陽軍記』

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