馬場頼周

馬場頼周

馬場頼周（ばば よりちか）は、戦国時代の武将であり、少弐氏の重要な家臣でした。彼は肥前国（現在の佐賀県、長崎県の一部）の綾部城主として、その地を治めました。

出自

馬場氏は、少弐氏の一族であり、その祖は少弐教頼の弟である頼経に遡ります。少弐氏は、周防国（現在の山口県）の大内氏からの圧力により勢力を弱め、肥前国へと拠点を移しました。その後、少弐氏はかつて九州探題であった渋川氏を圧迫し、肥前綾部城を奪い取り、一門である馬場氏をその城主として配置し、その地域の統治を固めました。

略歴

馬場頼周は、少弐氏の譜代の家臣である馬場頼員の子として生まれました。

大永3年（1523年）に少弐資元と大内義隆の間で和睦が成立すると、翌年の大永4年（1524年）正月には、少弐氏への帰参に応じなかった岳父である筑紫満門を謀殺しました。また、龍造寺氏、神代氏、副島氏の三氏に対して、大内氏との関係を断ち切ること、そして千葉胤勝の動向に警戒するように訴えました。享禄3年（1530年）の田手畷の戦いでは、少弐軍の一員として戦い、杉興運が率いる大内軍の撃退に貢献しました。天文3年（1534年）には、龍造寺家兼が少弐資元と大内義隆の間の和睦を仲介しましたが、翌天文4年（1535年）に陶興房が再び肥前国に侵攻すると、天文5年（1536年）には西肥前の国衆が離反し、主君である少弐資元は多久梶峰城で自害しました。

少弐資元の死後、その遺児である松法師丸が元服して冬尚と名乗ると、馬場頼周は譜代の家臣や肥前の国衆をまとめ、勢力を急速に拡大しました。天文13年（1544年）に龍造寺一門が西肥前の攻略に向かうと、頼周を含む少弐家の家臣たちは、高来郡の有馬晴純や杵島郡の後藤純明と共謀し、龍造寺一門を討ち取りました。そして、龍造寺氏や西千葉氏の旧領である佐賀郡や小城郡に進出しました。『九州治乱記』には、この際、頼周が討ち取った龍造寺一門6人の首を踏みつけたという記述があります。

天文15年（1546年）3月16日、頼周とその子である政員は、江上元種と共に小城郡の祇園城を改修し、冬尚の実弟である東千葉氏の当主、千葉胤頼の協力を得て、佐賀平野西部における少弐氏の支配拠点を築こうとしました。しかし、同時期に筑後国（現在の福岡県の一部）の蒲池鑑盛のもとに逃れていた龍造寺家兼が挙兵し、西千葉氏の当主である千葉胤連もこれに合流し、本拠地である佐賀郡水ケ江城に復帰しました。龍造寺・西千葉勢は勢いに乗じて4月2日に祇園城を包囲しましたが、祇園城が普請中であったこと、そして西千葉氏の家臣が城の縄張りを熟知していたこともあり、祇園城は陥落しました。頼周・政員父子は綾部城への逃亡を試みましたが、河上社のあたりで龍造寺勢の追撃を受け、子である政員は野田家俊によって討ち取られ、頼周は社家に逃げ込み芋釜の穴に隠れましたが、加茂弾正という者に穴から引きずり出されて殺害されました。龍造寺家兼は祇園岳へ向かう途中の坪上という場所で、頼周と政員の首を検分しました。なお、政員の妻は龍造寺家兼の孫娘であり、馬場父子の首は家兼によって丁重に葬られました。

頼周の死後、馬場氏は遺された孫である鑑周が跡を継ぎました。鑑周は後に許され、再び龍造寺氏に仕えましたが、永禄12年（1569年）に大友氏が攻め寄せた際には寝返るなど、龍造寺氏への抵抗を続けました。

脚注

出典

『肥陽軍記』
『北肥戦誌』（九州治乱記）

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