少林寺三十六房

映画「少林寺三十六房」

『少林寺三十六房』（原題：少林三十六房）は、1978年に香港で製作されたカンフーアクション映画です。ラウ・カーリョンが監督を務め、リュー・チャーフィーが主演しました。少林寺を舞台にしたカンフー映画の代表作として知られ、映画マニアであるクエンティン・タランティーノも「カンフー映画史上最高の3本に入る」と評しています。タランティーノは自身の監督作品『キル・ビル』にリュー・チャーフィーをオファーし、それぞれ別の役で出演しています。

日本では1983年に劇場公開され、1985年にはフジテレビの「ゴールデン洋画劇場」でテレビ初放映されました。日本版では、山崎アキラが歌うオリジナルの主題歌「Shaolin Fighter」が使用されています。2004年にはDVD化、2013年には続編2作を含むBlu-ray BOXが発売されました。

あらすじ

明朝が滅亡し、清朝の支配が広がる広東。明朝復興を目指す漢民族の義士たちが活動していました。主人公の劉裕徳は、私塾の師が反清復明運動に関わっていたことから、自らも運動に加わります。しかし、清の天達将軍とその部下による反乱分子狩りにより私塾は摘発され、劉裕徳は逃れるも、父を含む家族は殺されてしまいます。

復讐を誓った劉裕徳は、武術を学ぶため少林寺を目指しますが、途中で敵に見つかり重傷を負います。瀕死の状態で少林寺にたどり着いた彼は、三徳と名を改め、修行を積むことを許されます。少林寺で武術を学ぶには、まず三十五房と呼ばれる各修行場での訓練を修める必要があると教えられます。

最初の十房は、平衡感覚、腕力、視力、頭の鍛錬といった基礎的な身体訓練です。続く房では、拳法、足技、刀、棒などの武器術を学びます。各房では想像を絶する厳しい修行が待ち受けており、それぞれの住持に認められた者だけが次の房に進むことができます。

三徳は、最初から最難関の頂房に挑んで失敗したり、平衡房で池に落とされたりしましたが、寝る間も惜しんで努力を重ね、5年という異例の早さで三十五房すべてを制覇します。修行を終えた三徳に対し、少林寺管長は住持の地位を与えようとしますが、彼の復讐心を見抜いた戒律院総長は反対します。総長は、自分との手合わせで勝てば住持となることを認めると条件を出し、三徳は様々な方法を試しますが、双刀の達人である総長には勝てません。しかし、三節棍を考案し、ついに総長に勝利します。

三徳は、最下位の第三十六房を新設し、外部の人々にも広く武術を教えたいと申し出ます。管長は、三徳の提案を認めつつも、師に逆らった罰として托鉢を命じ、下山させます。

故郷に戻った三徳は、清軍の横暴によって荒廃した町を目の当たりにします。因縁の相手である唐三要が反清復明の義士を襲撃している場面に遭遇した三徳は、圧倒的な武力で三要を倒し復讐を果たします。洪熙官を始めとする多くの若者たちが三徳に弟子入りを志願し、三徳は三十六房で武術を教え始めます。

物語は、三徳が多くの弟子たちに武術を教える場面で幕を閉じます。

主な登場人物

劉裕徳/三徳（リュー・ユーダ/サンダ） - 劉家輝（リュー・チャーフィー）：本作の主人公。乾物屋の息子で学生でしたが、復讐のために少林寺で武術を学びます。
戒律院住持 - 李海生（リー・ホイサン）：少林寺の最後の審判者であり、双刀の達人。三徳の復讐心を見抜いています。
天達将軍 - 羅烈（ロー・リエ）：清の将軍で、圧政によって人々を苦しめます。双刀の達人。
唐三要 - 唐偉成（ウイルソン・タン）：天達将軍の部下。冷酷な性格で、次々と人々を殺害します。
洪熙官 - 于洋（ユー・ヤン）：唐三要らに同志を殺され、復讐に燃える義士。
春米六 - 汪禹（ワン・ユー）：米屋の男。三徳に協力します。
童千斤 - 呉杭生（ウー・ハンシェン）：鍛冶屋の男。三徳の助言で清軍を撃退します。
陸阿采 - 徐少強（ツイ・シウキョン）：竹細工職人。三徳をからかいますが、後に弟子入りします。

各房について

映画に登場する修行場、各房の特徴は以下の通りです。

平衡房（三十五房）: 足腰のバランス感覚や俊敏さを鍛えるための修行場。池に浮かべた木の上を渡る訓練を行います。
劈力房（三十四房）: 腕の力を鍛えるための修行場。両腕に水の入った桶を持って坂道を登る訓練を行います。
腕力房（三十三房）: 腕と手首の力を鍛えるための修行場。木魚のリズムに合わせて、重い竹竿で鐘をつく訓練を行います。
眼力房（三十二房）: 視覚的な判断力や反射神経を鍛えるための修行場。頭を固定し、眼球のみで蝋燭の動きを追う訓練を行います。
頭力房（二十六房）: 頭を鍛えるための修行場。硬いサンドバッグのようなものを頭突きする訓練を行います。
拳術房（二十五房）: 拳法で相手への攻撃や型の基本を学ぶ修行場。教科書に書かれた型の体勢を維持する訓練を行います。
腿術房: 足技で相手への攻撃や型の基本を学ぶ修行場。火のついた輪の先にある壺を蹴りで壊す訓練を行います。
刀術房: 刀で相手への攻撃や型の基本を学ぶ修行場。
棒術房: 棒を使いこなす基本を学ぶ修行場。
頂房（第一房）: 読経や禅問答を行い、僧侶としての悟りを開くための精神修練を行う場所。

脚注

本作に登場する洪熙官、春米六、童千斤、陸阿采は、福建少林寺に実在したとされる人物で、他の少林寺関連映画にも登場しています。

関連項目

少林寺 (映画)
少林寺木人拳
新少林寺/SHAOLIN
ウータン・クラン

外部リンク

少林寺三十六房 - allcinema
The 36th Chamber of Shaolin - IMDb

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