尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマについて

尖圭コンジローマ（せんけいコンジローマ、英語でGenital Wart）は、ヒトパピローマウイルス（HPV）によって引き起こされる性感染症です。主にHPV6型とHPV11型が原因となり、口腔や生殖器、肛門周辺に目に見えるイボを形成します。これらのウイルスは発がん性リスクが低いため、尖圭コンジローマ自体は通常は悪性ではありませんが、再発しやすく、感染の広がりが問題とされています。

病因

尖圭コンジローマを引き起こすHPVは180種類以上ありますが、そのうち90%は良性の粘膜型HPV6型と11型によるものです。また、高リスクのHPV16型や18型が同時感染することもあります。この感染は主に性行為を通じて伝播しますが、まれに育児などを経由して感染することもあります。特に肛門への感染は肛門性交が主因ですが、その他の方法でも感染のリスクがあります。

臨床像

尖圭コンジローマは、陰茎、肛門、小陰唇、大陰唇、および膣内に発生することが多いですが、まれに口唇や口腔にも見られることがあります。イボは通常、トサカ状やカリフラワー状で、色は褐色になることが一般的です。潜伏期間は平均2.8か月ですが、3週間から8か月の範囲で変動することがあります。未治療でも、約40-60%のケースでは自然治癒することもあるため、症状があっても必ずしも医療機関を受診する必要があるわけではありません。

鑑別と検査

尖圭コンジローマと類似する現象も多く、特に男性の場合はフォアダイスや真珠様陰茎小丘疹と見間違うことがよくあります。これらは生理的な現象で無害です。女性の場合、最も信頼性のある診断方法は組織を採取して行う病理診断です。HPV6型や11型を検出する必要がありますが、通常の婦人科検査では難しいことが多いです。

治療法

尖圭コンジローマの治療には、外用薬、凍結療法、外科的切除、レーザー治療などが用いられます。最近では、免疫を刺激して効果を発揮するイミキモドという外用薬が好まれており、自己処置が可能です。現在の治療は再発のリスクが高く、完治が難しいため、定期的な経過観察が必要です。

予後

尖圭コンジローマは再発が一般的で、約25%の患者において再発が見られます。再発を防ぐためには、少なくとも3ヶ月間は治療判定を待つことが推奨されます。また、免疫が抑制されている患者には治療が難しくなる場合がありますので、注意が必要です。

予防

尖圭コンジローマを防ぐためには、コンドームの使用が有効とされていますが、コンドームの未カバー部分からの感染も考えられます。完治するまで性行為は避けるべきです。

ワクチン

HPVに対するワクチンも多く開発されており、特にメルクの「ガーダシル」はHPV6型および11型に効果があるとされています。このワクチンは日本でも承認されており、若年女性を対象に無料接種が行われています。HPVに未感染の人々に対する大規模な臨床試験では、ワクチンの効果が80%に達すると報告されています。

尖圭コンジローマは性感染症の一種ですが、予防と早期の対応が肝要です。感染のリスクを理解し、必要であれば医療機関を受診することが重要です。

もう一度検索