膣

膣の概要

膣（ちつ、英: vagina）は、雌性生殖器の一部であり、哺乳類を含む多くの動物において、体内に位置する器官です。膣は、主に子宮と体外を直接つなぐ役割を持ち、産道や交尾時の通路として機能します。

動物における膣の構造

一般的に、膣は体表面と内部の生殖器（子宮や卵管）とを結ぶ管状の構造を持っています。無脊椎動物を含む多くの動物に見られるこの構造は、体内受精を行う種に特有です。鳥類や一部の爬虫類では、膣は排泄用の総排出腔としての役割も果たします。

哺乳類の膣

哺乳類では、膣は子宮から外部へ通じる器官で、性交と分娩の両方に関与しています。膣の開口部は外陰部に位置し、構造上は筋肉でできた伸縮性があります。膣の内部は、分泌物により一定の酸性を維持しており、有害な細菌の進入を防ぐ役割を果たしています。

膣の主な機能

膣には幾つかの重要な役割があります:
1. 分泌物や月経の排出: 膣は、子宮や卵管からの分泌物、月経に伴う剥がれた内膜、血液を外部へと排出する通り道です。
2. 分娩時の胎児の通過: 出産時には、膣が母体の外へと胎児を送る産道としての機能を果たします。
3. 受精の助け: 交尾によって、雄の精子が膣を通り卵子に到達し、受精が行われるための通路となります。

処女膜

処女膜（Hymen）は一部の哺乳類に存在し、膣口を部分的に覆う構造を持つ場合が多いです。処女膜を通して月経の血液や帯下が排出されることがありますが、その役割は未成熟な内性器を外的な危険から守るという説も存在します。ヒトの場合、処女膜は薄く、性交の経験がない場合でも破れることがあるため、必ずしも出血や痛みを伴うわけではありません。

子宮頸部との関係

膣は子宮頸部に続いており、子宮の外側に位置する子宮口（外子宮口）と直接つながります。子宮頸部は膣内に約2〜3cm突き出しており、通常斜め前方に位置します。これは、子宮が前傾しているためであり、個人差があります。

人間の膣の特性

ヒトの膣は、柔軟性に富み、内壁は皺襞が形成されています。この皺襞は、性交時に刺激を提供し、射精を促す役割を果たします。膣内は自浄作用を持ち、通常のバランスを保つためには健康的な細菌も存在しますが、無菌状態ではありません。個人によって膣の長さには差があり、約7〜9cmとされていますが、個人差が大きいです。

外性器との関連

しばしば「膣」は外陰部を指す言葉として誤用されることがありますが、厳密には膣は体内の器官を指します。外陰部は膣口を含む部分であり、風貌や機能の異なる複数の構造から成ります。性教育において説明される模式図は一般的には理解のためのものですが、実際の膣は閉じているため、性交には膣圧や潤滑が重要であると言えます。

膣という名称の由来

日本語において「膣」と「腟」は別の字が使われることがありますが、意味は同じです。膣は「肉が生まれる」という意味を持つ漢字が由来となっています。また、英語の「vagina」は、ラテン語で「鞘」を意味し、解剖学上の構造を表す言葉として用いられています。

このように、膣は雌性生殖器として多岐に渡る機能を持つ重要な器官です。

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