尚宮

尚宮についての詳細

尚宮（サングン、상궁）は、朝鮮王朝において特別な地位を有する女官の称号です。これは内命婦（ネミョンブ、내명부）の一部で、王に仕える妃や側室、その他の女官を含む組織の中で最も高い位にあたります。尚宮は通常、正五品（チョンオプム、정오품）という位階に位置し、その影響力は女官の中で抜きん出ています。他の下位の女官たちからは、「媽媽任」（ママニム、마마님）と尊称されます。

女官の役割と採用基準

朝鮮時代の女官は多様な役割を担っており、その業務は厳格に分かれていました。彼女たちは至密（王族への仕え）、針房（衣装の縫製）、繍房（刺繍品の製作）、洗手間（洗濯）、生果房（果物の調理）などの専任部署に配属され、宮中での生活を支えました。このため、女官は入宮の歳に基づき、早期から教育を受ける必要がありました。至密内人は4〜5歳で、その他は15歳までに下級女官として選ばれることが一般的でした。

女官としてのキャリアはおおむね25年から35年の努力の後、尚宮への昇進が見込まれました。しかし、実際の勤務は年齢により制限があり、長期の療養や死亡が許されないため、実老齢に達した女官たちは実家に戻ることが多くありました。宮中で亡くなった場合、祭祀料が支給され、3年間の恩給が遺族に渡されることが定められていました。

尚宮の称号と職務

尚宮は所属する部署名により、通常の称号が与えられました。例えば、至密に所属する尚宮は「至密尚宮」と称されます。特別な責務を持つ場合、以下のような異なるタイトルが付与されます：

• - 提調尚宮（女性女官長）：女官の指導人物であり、全般的な管理を行います。
• - 副提調尚宮：提調尚宮の補佐役として機能します。
• - 監察尚宮：女官の行動を監視する役割を持っています。
• - 待令尚宮：王の近くで常時奉仕する尚宮です。
• - 侍女尚宮：書籍の管理、文の朗読や筆写を担当します。
• - 保姆尚宮：王子や王女の教育を受け持つ内人を監督します。
• - 本房尚宮：王妃や世子女が実家から連れてきた尚宮です。
• - 特別尚宮（承恩尚宮）：国王と同衾したが側室とはされていない女官です。

これらの役割は、それぞれの女官が宮廷内で果たした重要な職務を反映したものとなっています。

尚宮の給与と手当

尚宮の給与は、同じ位階の一般官吏に比べて優遇されていました。基本給に加えて、下女の費用、食費、服飾費用、特別手当などが支給され、その内容も多岐にわたりました。例えば、尚宮は、米や豆、魚などを月ごとに受給することが可能であり、提調尚宮であれば、大量の食糧が確保されていたことでしょう。

このように尚宮は、朝鮮王朝における女官の中でも特に高い地位と重要な役割を持ち、彼女たちの存在は宮中の文化や生活に大きな影響を与えていたと言えるでしょう。

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