就学猶予と就学免除

就学猶予・就学免除とは

就学猶予と就学免除は、市町村教育委員会が、学齢期の子どもの保護者に対して、その子を学校に就学させる義務を猶予または免除する制度です。これは、日本の学校教育法第18条に定められています。

概要

就学猶予・免除の対象となるのは、病弱、発達の遅れ、その他やむを得ない事由により就学が困難と認められる児童の保護者です。文部科学省は、「その他やむを得ない事由」について、以下の例を挙げています。

児童生徒の失踪
帰国児童生徒の日本語能力が十分でない場合
重国籍者が将来的に外国籍を選択する可能性が高い場合
低出生体重児などで、教育上・医学上の観点から就学猶予・免除が適当と判断される場合

歴史的背景

1979年に養護学校が義務教育となる以前は、障害のある子どもたちに対して、保護者の意向に関わらず就学猶予・免除が適用されるケースが多くありました。これは、障害児のための教育環境が十分に整っていなかったためです。現代では、特別支援学校の整備が進み、強制的な適用は減少傾向にありますが、子どもの教育を受ける権利の観点から、さらなる改善が求められています。

近年の動向

1984年の国籍法改正により、重国籍者の子どもがインターナショナルスクールに通学する場合、就学猶予または免除の手続きが必要となりました。また、近年では、超低体重児の救命率向上に伴い、発達が未熟なまま入学時期を迎える児童が増加しており、就学猶予を希望する声も上がっています。

就学猶予・免除者数は、養護学校義務化を機に減少しましたが、重国籍者の増加などにより、近年は再び増加傾向にあります。特に、就学免除者数の増加が顕著です。

統計データ

就学猶予・免除の理由としては、「その他」が最も多く、「児童自立支援施設または少年院にいるため」がそれに次ぎます。都道府県によって適用数に大きな差があり、ゼロの県も存在します。

その他

戦前には、困窮を理由とした就学猶予・免除も行われていましたが、国民学校設置後は廃止されました。日本では、親権者が子どもの教育をする義務を負うため、子ども本人が就学猶予・免除を申請することはできません。

海外の事例

海外では、子どもの発達に合わせて入学を遅らせたり、早めたりする制度があります。

就学猶予は、子どもの成長を考慮し、より良い教育環境を提供するための制度です。制度の適切な運用と、全ての子どもが教育を受けられる環境整備が重要となります。

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