就業人口
就業人口とは
就業人口（しゅうぎょうじんこう）という言葉は、人口や労働に関連する統計的な指標の一つで、職業について収入を得ている人々の数を指します。就業者には、実際に働いている従業者と、病気や休暇などにより一時的に働いていないが雇用関係が継続している休業者が含まれます。特に、個人経営の商店や農家で無給で手伝っている家族も、一般的には就業者として扱われることが多いです。
就業者の分類と調査方法
就業者はさらに、実働している人と休業中の人に分かれます。そして、就業人口を算出する際には、特定の年齢範囲を対象として調査が行われます。調査によって得られた就業人口を対象年齢層の総人口で割ることで、就業率という指標が算出されます。対象年齢については国によって異なりますが、一般的には15歳以上や16歳以上の基準が用いられています。
就業状況の把握には、アクチュアル方式（current activity status）という手法が主に使用されます。この方式では、特定の短期間にどのくらい働いたかを質問し、回答者が「従業者」としてカウントされるかを判断します。このため、回答者の主観に依存しないため、統一的な測定が可能ですが、その期間に働いていない場合でも雇用契約が存在する場合の人が除外されることがあります。そのため、休業者というカテゴリーを設け、より正確に就業状況を把握する工夫がされています。
一方、ユージュアル方式（usual status）では、特定の時期を設定せずに、質問者に普段どのような仕事をしているかを尋ねます。この方法では、繁忙期だけ手伝う家族従業者や、長期休暇中にアルバイトをする学生など、自己判断で回答することが多く、統一性の面で課題が残ります。そのため、一定の基準を定めて自己判断の影響を減らす試みがされています。たとえば、年間で30日以上働いているかどうかを基準にしたり、育児休業や介護休業中は「働いている」とみなすことが一般的です。
歴史と国際標準
この調査方法は歴史が古く、19世紀末から20世紀初頭にかけて、多くの国で国勢調査などでも採用されてきました。アメリカでは、1940年にアクチュアル方式による就業人口の調査が開始され、これ以降多くの国で同様の方法が利用され、現在の主流となっています。
1982年に国際労働機関 (ILO) の会議で提案された調査方法や指標算出方法は国際標準として位置づけられ、その後も修正が行われています。この結果、就業人口を把握するための国際的な基準が整えられ、各国の労働市場の分析に役立っています。現代において、就業人口のデータは経済政策や労働市場の状況を理解する上で欠かせない情報とされています。
関連項目
外部リンク
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。