尹泰彬

尹 泰彬について

尹 泰彬（いん たいひん、1886年生まれ）は、明治時代から昭和時代にかけての朝鮮総督府における官僚で、さまざまな役職を歴任しました。彼の背景は坡平尹氏であり、日本名は伊藤泰彬とされています。彼は正四位と勲三等の位階・勲位を得ていた人物で、彼の経歴は複雑かつ興味深いものがあります。

初期の経歴

1886年に漢城府（現在のソウル）で生まれた尹は、1903年に官立日語学校を卒業し、その後外国語学校の副教官や官立高等小学校で日本語教授を務めるなど、教育界で活動を開始しました。彼の教育に関する知識や経験が、後の官僚活動においても役立つこととなります。

官僚としての活動

1910年に朝鮮総督府に雇員として採用された尹は、その後すぐに関税局に嘱託として勤務を始めました。1912年には総督府道書記に任命され、京畿道で勤務を行いました。以降、彼は様々な道の行政機関で要職を歴任し、特に内務部門での活動が目立ちます。

1921年には道理事官に就任し、さらに京畿道内務部の勧業課長や産業課長を経て、1930年には咸鏡南道の財務部長にまで昇進しました。そして1932年には忠清南道内務部長も経験し、その後も京畿道参与官兼産業部長や地方米穀統制組合の会長として地域の経済政策に深く関与していきます。

戦時中の役割

1937年には愛国金釵会が結成され、尹はその設立趣旨を説明する役割も担いました。さらに1939年には江原道知事に任命され、1940年には忠清北道知事に転任するなど、戦争の影響が高まる中で政治的な地位を築いていきました。

後の人生

1942年に彼は退官しましたが、その後の人生は波乱に満ちたものでした。1949年には反民族行為特別調査委員会に逮捕されたものの、後に釈放されました。しかし、1950年に朝鮮戦争が勃発すると、彼は拉致され、その後の運命は不明です。

2012年には、韓国で制定された日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法に基づき、彼が親日反民族行為者に認定される事態となりました。これは彼の官僚としての活動がどう評価されるかを反映するものであり、朝鮮の歴史における複雑な立ち位置を示しています。

参考文献

• - 浜口裕子『朝鮮総督府の朝鮮人官吏 : 満州国の中国人官吏との比較で』慶應義塾大学法学研究会、1994年。
• - 帝国秘密探偵社 編『大衆人事録. 外地・満支・海外篇』帝国秘密探偵社、1940年。

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