尾上丑之助

尾上丑之助：歌舞伎の名跡とその系譜

「尾上丑之助」は、歌舞伎界において重要な名跡の一つです。音羽屋を屋号とし、重ね扇に抱き柏を定紋、四ツ輪を替紋としています。この名跡は、初代尾上菊五郎の後妻である連子（後の二代目尾上菊五郎）の幼名に由来しています。現在では、「尾上菊五郎」や「尾上菊之助」の名跡を襲名する前に継承されることが多い、いわば登竜門的な名跡と言えるでしょう。

各代の尾上丑之助

初代 尾上丑之助 (1771-1787)

初代尾上菊五郎の後妻、連子が初代を襲名しました。実父は二代目大谷廣次です。義父である初代尾上菊五郎の死後2年目に二代目尾上菊五郎を襲名しましたが、わずか2年後に急逝しました。初代から既に、この名跡が歌舞伎界における重要な位置を占めていたことが伺えます。

二代目 尾上丑之助 (1885-1949)

五代目尾上菊五郎の長男として生まれました。後に六代目尾上菊五郎を襲名し、初代中村吉右衛門と共に「菊吉時代」を築いた、大正時代を代表する名優の一人です。その活躍は、歌舞伎史に大きな足跡を残しました。

三代目 尾上丑之助 (1900-1926)

六代目尾上梅幸の長男として誕生しました。七代目尾上榮三郎を襲名しました。短い生涯でしたが、その才能は周囲に高く評価されていました。

四代目 尾上丑之助 (1915-1995)

二代目の養子として迎えられました。実父に関しては、五代目尾上菊五郎の隠し子とする説と、二代目自身の子とする説があり、謎に包まれています。後に三代目尾上菊之助、そして七代目尾上梅幸を襲名し、長きに渡り歌舞伎界で活躍しました。

五代目 尾上丑之助 (1942- )

四代目の長男です。四代目尾上菊之助、そして七代目尾上菊五郎を襲名しました。当代きっての名優として、多くの観客を魅了し続けています。

六代目 尾上丑之助 (1977- )

五代目の長男です。五代目尾上菊之助を襲名しました。当代を代表する役者として、歌舞伎界を牽引しています。

七代目 尾上丑之助 (2013- )

六代目の長男であり、当代です。2019年5月に初舞台を踏み、今後の活躍が期待されています。

「尾上丑之助」と他の名跡との繋がり

「尾上丑之助」は、「尾上菊五郎」や「尾上菊之助」といった名跡と密接な関係にあります。多くの場合、これらの名跡を襲名する前に「尾上丑之助」を襲名することで、経験を積み、将来の活躍へと繋げています。この名跡が、歌舞伎役者にとって重要なステップとなっていることが分かります。

まとめ

初代から七代目まで、それぞれの時代に輝きを放った「尾上丑之助」。その系譜は、歌舞伎の歴史そのものを映し出していると言えるでしょう。今後の七代目尾上丑之助の活躍にも期待が高まります。

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