尾上多見蔵 (2代目)

二代目 尾上多見蔵

二代目尾上多見蔵（にだいめ おのえ たみぞう、寛政12年〈1800年〉 - 明治19年〈1886年〉3月2日）は、江戸時代から明治時代にかけて名を馳せた歌舞伎役者であり、屋号は音羽屋、俳名は二朝、松玉、松朝、雅号は春風舎で知られています。

幼少期と初期の活動

彼は京で床山亀右衛門の子として生まれました。若い頃には、三代目瀬川菊之丞のもとで学び、瀬川和市と名乗りながら大坂の子供芝居に出演しました。文化の初めに、三代目中村歌右衛門の弟子となり中村和市と称し、その後、三代目尾上菊五郎の元で修業を重ねることになります。ついに文政6年には菊五郎門下の一員として、江戸の河原崎座で二代目尾上多見蔵を襲名し、名実ともに歌舞伎界での活動を始めました。

歌舞伎界での活躍

その後、二代目尾上多見蔵の名は特に大坂で響き渡るようになり、天保2年（1831年）には、五変化の所作事で大きな評判を呼びました。師匠の菊五郎が大川橋蔵と名乗った時には、彼も大川八蔵と称しましたが、数年後には元の名前に戻ります。菊五郎の死後は大坂の舞台で力強く活動を継続し、特に江戸末期には上方の最長老としてその名声を高めました。

尾上多見蔵は明治4年に同世代の六代目市川團蔵や初代坂東亀蔵らが世を去ると、東西の歌舞伎における尊敬される存在となりました。明治12年（1879年）には、東京で新たに作られた久松座の杮落し公演に出演し、その出演料が80日間で4千円に達するという大きな成功を収めました。

最晩年と評価

明治18年（1885年）11月には死亡の噂が流れるも、彼はそれを否定し、最後の舞台として大阪中座での大切所作事『歳徳神』に出演しましたが、これが生涯最後の出演となりました。享年は87歳であり、長きにわたるその活動には多くのファンが支持を寄せていました。

尾上多見蔵は、体格に恵まれずとも多彩な役柄を演じ分け、特に立役、敵役、女形を兼任する独特の魅力がありました。師匠譲りの怪談物や早替わりなどの驚きの演技に加え、研究に対する熱心さは高く評価されています。天保9年には、身体に胴金を装着しての空中回転を披露し、大評判を得ました。また、晩年の明治15年には地方巡業で楼門五三桐の石川五右衛門を演じ、太鼓抜けの宙乗りを魅せています。

実子には三代目市川市蔵、初代尾上松鶴が、また門弟には三代目尾上多見蔵がいます。彼の足跡は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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