尾上梅幸 (6代目)

六代目尾上梅幸の生涯と業績

六代目尾上梅幸（録式名：おのえ ばいこう、1870年10月15日 - 1934年11月8日）は、日本の歌舞伎界で名を馳せた女方の役者です。屋号は音羽屋で、定紋は重ね扇に抱き柏、替紋は四ツ輪という象徴的なものを持っています。本名は寺島栄之助。彼は明治末期から昭和初期にかけての時代において、特に高い評価を受けた女方の一人です。

生い立ちと成長

彼は1860年に尾張国名古屋の伏見町に生まれました。父は三代目尾上菊五郎の孫であり、母は名古屋の芸者であったため、彼の環境はエンターテインメントに満ちていました。1875年には初代西川鯉三郎に師事し、1877年に名古屋にて初舞台を踏み出しました。その後、1882年に五代目尾上菊五郎の養子となり、東京へ移り住み、女方の修行に励みました。

1885年には、日本橋の千歳座で東京初舞台を迎え、本格的な経歴が始まります。続いて1891年には新富座で名題昇進を果たし、五代目尾上栄三郎を襲名しました。1903年には五代目尾上菊五郎が他界し、梅幸は六代目尾上梅幸へと名を改めました。彼は同時代の女方として重要な役割を果たし、五代目中村歌右衛門などと共に活躍しました。

歌舞伎界での活躍

1911年に帝国劇場が開場すると、梅幸は女方として初の座頭格として迎えられ、以降18年間にわたり出演し続けることになります。彼は特に丸本物や世話物、また音羽屋に関わる怪談物を得意とし、多数の名役を演じました。主な当り役には『義経千本桜』の静御前や『仮名手本忠臣蔵』の顔世御前、お軽などがあり、これらの演技は彼の名声をさらに高めました。

私生活と晩年

梅幸は私生活では酒を好み、その影響から健康を害することもありました。彼は1928年に脳卒中で倒れながらも復帰を果たし、1934年には再度の脳卒中に見舞われました。倒れた際には、裾の乱れを気にする姿が伝えられており、彼のプロフェッショナリズムが窺えます。最後の舞台を終えた後、彼は64歳でこの世を去りました。

芸の影響と著作

梅幸の芸風は特に真摯であり、演技に対する姿勢には高い評価があります。また、彼は多くの著作も残しており、芸談や自身の生涯について記した作品が数多く存在します。これにより、後の世代に対しても影響を与え続けています。

彼の死後も、歌舞伎界での影響力は続き、彼と相方であった十五代目市村羽左衛門も後に梅幸の隣に葬られました。梅幸の後を継いだ者たち、特に七代目尾上榮三郎やその子孫たちも彼の遺志を継いで活躍しました。

まとめ

六代目尾上梅幸は、歌舞伎の女方としての伝説的存在で、彼の芸術は今日まで語り継がれ、影響を与えています。彼の才能と情熱は、彼を歌舞伎史に不滅の存在としました。

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