帝国劇場

帝国劇場のあゆみと魅力

概要

帝国劇場（ていこくげきじょう）は、東京都千代田区丸の内三丁目にあるプロセニアム形式の劇場で、愛称として「帝劇（ていげき）」として広く知られています。1911年3月1日に開場し、同年の4日には初の杮落し公演が行われました。この劇場は、収容人数が1,897人で、現在は東宝が管理運営を行っています。

建設の背景と初期の歴史

リーダーシップのもと、伊藤博文、益田太郎、西野恵之助、渋沢栄一などが発起人として設立された帝国劇場は、当初から西洋式の演劇を楽しむための場所として注目を集めました。1912年、イタリアからの舞台技術者によって歌劇やバレエが導入され、名立たる俳優たちが帝劇専属となり、歌舞伎やシェイクスピア作品が上演されました。

「今日は帝劇、明日は三越」というキャッチフレーズは、当時の消費文化を象徴する言葉として親しまれるようになりました。また、川上貞奴が設立した女優養成所が引き継がれるかたちで、帝国劇場付属の技芸学校も設立され、数多くの才能あふれる女優が巣立っています。

災害による変遷と再建

1923年には関東大震災が発生し、帝国劇場は火災によって外郭を残して焼失してしまいました。しかし、横河民輔の指導のもと1930年には改修され、再び多彩な上演が行われるようになりました。1939年には東宝が経営を引き継ぎ、演劇主体の歌舞伎やオペラに注力するようになりました。戦時中の1944年からは、劇場が一般開放され、雑炊食堂として利用されるなど、異なる形での活用が行われました。

戦後の復興と再生

第二次世界大戦後、1945年10月には『銀座復興』というタイトルで公演が再開され、その後も映画館として利用される時期がありましたが、1964年にはシネラマ映画の上映を最後に解体されました。現在の帝国劇場は1966年に谷口吉郎の設計により再建され、複合ビルとなりました。ビルの上階には出光美術館が設けられ、文化活動の中心地の一つとして親しまれています。

現在の運営とプログラム

現在の帝国劇場では、毎年約10本のプロダクションが上演されています。中でも『日本レコード大賞』の発表会や年末ジャンボ宝くじの抽選会の会場としても広く知られ、地域社会との関わりを持っています。例えば、近年では『千と千尋の神隠し』や『キングダム』、『SPY×FAMILY』といった話題作が上演され、多くの観客が訪れています。

定紋と文化的意義

帝国劇場として使用されていた定紋は、扇子と翁の面を組み合わせたものでした。後に東宝マークに替わりましたが、当劇場の文化的象徴としての役割は今なお重要です。

結び

帝国劇場は、百年以上の歴史を持つ日本を代表する劇場であり、その多様な演目や文化的活動を通して、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。2022年には再建計画が発表され、さらなる発展が期待されています。

もう一度検索