尾崎久彌

尾崎久彌について

尾崎久彌（おざき きゅうや、1890年6月28日 - 1972年6月2日）は、日本の国文学者として知られ、特に近世文学や浮世絵、書誌学に関する研究で広く評価されています。彼はその研究成果に基づいた多数の著書を残し、多くの人々に影響を与えました。また、死後には約一万点に及ぶ蔵書が名古屋市の蓬左文庫に寄贈され、尾崎久彌コレクションとして文化財としての評価を受けています。

経歴

尾崎は愛知県名古屋市で生まれました。彼は愛知一中（現在の旭丘高校）で学び、その後國學院大學へ進学しました。大学在学中に文筆活動を開始し、卒業後は愛知県内の学校にて教職に就きます。愛知一中や豊橋中学（現在の時習館高校）で教師としてのキャリアを積んだ後、国学院大学の講師や東邦高校の教師を務めました。1953年からは名古屋商科大学で教授として教育に貢献するなど、幅広い教育者としての道を歩みました。晩年には名古屋市文化財調査委員会の委員長も務めました。

教育活動の傍ら、尾崎は創作活動、浮世絵の収集、江戸軟派文学の研究に情熱を注ぎました。彼の浮世絵収集に関する評価は高く、特にその専門性は現在でも評価されています。1972年には94歳で亡くなりますが、その後も彼の功績は文化遺産として語り継がれています。

著書

尾崎は数多くの著作を残しました。特に初期の作品には次のようなものがあります。

• - 『浮世絵と廃頽派』（1925年）
• - 『江戸軟派雑考』（1925年）
• - 『軟派謾筆』（1926年）
• - 『浮世絵美人大首画の研究』（1927年）
• - 『江戸時代小説・脚本・浄瑠璃・随筆翻刻物索引』（1927年）

これらの著作は、浮世絵や江戸文学の研究において重要な資料とされています。後には『江戸小説研究』（1935年）や『名古屋芸能史』（1971年）なども発表し、江戸時代の文化を広く探求しました。また、共編著や編纂書も若干存在しており、彼の研究は多岐にわたることが伺えます。

蔵書と文化財としての影響

尾崎の亡き後、その蔵書は名古屋市東区の蓬左文庫へ寄贈され、尾崎久彌コレクションとして保存されています。このコレクションには約一万点の資料があり、江戸文学や浮世絵に関心を持つ研究者や愛好者にとって、貴重な情報源となっています。彼の資料は、日本の伝統文化を理解する上で重要な役割を果たしています。

尾崎久彌は、その研究成果や教育活動を通じて、日本の文学文化に寄与し続けています。彼の名は、今後も国文学の分野で語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索