尾張草香

尾張草香（おわり の くさか）は、生没年が不詳の古墳時代の豪族であり、尾張連の一員として知られています。彼の名前は、古代日本の歴史書に登場し、特に継体天皇の最初の妃である目子媛（めのこひめ）の父親として、重要な役割を果たしました。目子媛は、安閑天皇と宣化天皇の母親であり、草香は両天皇にとって外祖父にあたります。

草香に関する記述は、『古事記』、『日本書紀』、『先代旧事本紀』などの歴史書に見られます。

『古事記』では、「又娶尾張連等之祖、凡連之妹、目子郎女」と記されており、尾張連の祖であり、目子郎女の兄であるとされています。
『日本書紀』には、「元妃、尾張連草香女曰目子媛」とあり、継体天皇の最初の妃が尾張連の草香の娘、目子媛であると記述されています。
* 『先代旧事本紀』には、「元妃尾張連草香女、曰目子媛、生二子矣」とあり、目子媛が二子を産んだことが記されています。

これらの記述から、草香が継体天皇の妃の父として、また、二人の天皇の外祖父として、古代日本の政治において重要な役割を担っていたことが伺えます。

また、草香の墓であると推測される断夫山古墳は、愛知県名古屋市に位置する、全長約150メートルの前方後円墳です。しかし、この古墳は、草香の娘である目子媛の墓であるとする説も存在します。どちらの説が正しいのか、結論は出ていません。断夫山古墳の築造時期は6世紀初頭と推定されており、尾張地方の有力な豪族の墓として、その規模の大きさからも当時の権力を示すものと考えられます。

さらに、宣化天皇の皇女である石姫皇女が、欽明天皇の皇后となり、敏達天皇を産んでいます。このことから、尾張草香は現在の皇室の直系祖先の一人ということになります。彼の血筋は、後の皇室にまで受け継がれていったのです。

草香の具体的な出自や、彼が尾張連の中でどのような地位にあったのかについては、詳しい資料が残っておらず、不明な点も多くあります。しかし、彼の娘が天皇の妃となり、さらには天皇の外祖父として、古代日本の歴史に深く関わったことは、疑いのない事実です。

尾張草香の後の子孫に関する記録は、現在のところ確認されていません。しかし、彼の存在は、古代日本の豪族と皇室との関係を考える上で、重要な手がかりを与えてくれる存在と言えるでしょう。古墳時代の歴史を研究する上で、今後さらに彼の詳細が明らかになることが期待されます。

関連する項目としては、「飛鳥時代以前の人物一覧」も参照すると、より深く理解することができます。

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