連

連（むらじ）とは

連（むらじ）は、古代日本のヤマト政権において、臣（おみ）と並び称された有力豪族の称号です。ヤマト政権の中枢を担った豪族に与えられ、その権勢を象徴するものでした。

語源と特徴

連の語源については諸説ありますが、有力なのは「ムラ」という一定規模の社会集団の長である「ヌシ」を意味する「むらぬし」が転じたとする説です。この説によれば、連は村落を基盤とする有力な氏族の長を指していたと考えられます。ただし、「村主（すぐり）」という別姓とは区別されます。

『日本書紀』などの官撰史書では、連姓を持つ氏族の多くは皇室以外の神々の子孫であるとされています。これは、連が単なる地方の豪族ではなく、神話的な背景を持つ特別な存在であったことを示唆しています。

八色の姓施行前の連

連の姓を称した主な氏族には、大伴氏、物部氏、中臣氏、土師氏、弓削氏、尾張氏などが挙げられます。これらの氏族は、大和盆地を中心に勢力を持ち、ヤマト王権に早くから服属していました。臣が主に大和盆地の有力豪族であったのに対し、連は神別系の有力氏族が多く、軍事や祭祀など特定の職能を専門的に担っていたのが特徴です。

特に大伴氏や物部氏のような有力な氏族は「大連（おおむらじ）」と呼ばれ、臣の中の有力者である「大臣（おおおみ）」とともに、ヤマト政権の中枢で最高位を占めました。彼らは王権を左右するほどの絶大な力を持っていました。

八色の姓施行後の連

天武天皇の時代に行われた八色の姓の改革により、連の地位は大きく変化しました。それまで連を称していた中央の貴族は、新たに「宿禰（すくね）」の姓を授けられました。連は、八色の姓の中で上から7番目に位置づけられ、主に地方の豪族が保持する姓となりました。この改革により、連は中央政界での影響力を失い、地方の有力者という位置づけに変化しました。

まとめ

連は、ヤマト政権において有力豪族に与えられた称号であり、その多くは神話的な背景を持つ特別な存在でした。初期のヤマト政権では、大連として政治の中枢を担いましたが、八色の姓の改革後は地方の豪族の姓として存続しました。連は、古代日本の社会構造や政治体制を理解する上で、重要な要素の一つと言えるでしょう。

関連項目

カバネ
大臣 (古代日本)
臣
大連
* 部民制

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