尾札部村

北海道茅部郡尾札部村：消滅した村の歴史

かつて北海道茅部郡に存在した尾札部村は、その独特の村名と歴史的経緯から、北海道の歴史を語る上で欠かせない存在でした。本稿では、尾札部村の成り立ちから消滅に至るまでを詳細に解説します。

村名の由来

尾札部村という地名は、アイヌ語にその起源を持ちます。アイヌ語で「乾く川」を意味する地名から転じたものと考えられています。これは、尾札部川が下流域で砂利が多く、渇水期には川床の砂利が露出して、まるで川が乾いたかのように見えることに由来しています。この特徴的な河川環境が、村名に深く関わっていることが分かります。

沿革：明治から昭和にかけての歩み

尾札部村の歴史は、明治時代後期に始まります。1906年（明治39年）4月1日、北海道二級町村制の施行に伴い、茅部郡尾札部村として村制が施行されました。この時、函館支庁に所属することとなりました。

その後、1922年（大正11年）8月3日には、支庁の改称により渡島支庁の管轄下に入ります。この期間、尾札部村は地域社会の発展に貢献し、住民たちは独自の文化と生活を築き上げてきました。静かで穏やかな田園風景が広がり、人々は自然と共生する生活を送っていたと想像されます。

しかし、尾札部村の歴史は長くは続きませんでした。1959年（昭和34年）5月1日、隣接する臼尻村との合併により、南茅部村が誕生し、尾札部村は行政区分から姿を消しました。それまでの歴史に幕を閉じ、新たな行政区域の一部分として、その歴史を未来へと繋いでいくことになります。

参考文献

『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年
『北海道の地名』山田秀三、北海道新聞社、昭和59年

これらの文献は、尾札部村の歴史を研究する上で重要な資料となります。それぞれの文献で異なる視点や詳細な情報が提供されているため、併せて参照することで、より深い理解を得ることが可能です。

まとめ

尾札部村は、短いながらも独自の足跡を残した北海道の村でした。アイヌ語地名に由来する村名は、その地の自然環境を反映しており、歴史的経緯を知る上で重要な手がかりとなります。明治から昭和にかけての変遷を経て、合併により消滅したものの、その歴史は、北海道の歴史を語る上で重要な一ページとして残されています。後世に残された資料を基に、尾札部村の記憶を大切に伝えていくことが重要です。

もう一度検索