渡島支庁

北海道渡島支庁：歴史と変遷

北海道渡島支庁は、北海道南西部に位置し、かつて存在した支庁のひとつです。その歴史は、明治時代後期にまで遡ります。本稿では、渡島支庁の設立から廃止、そしてその後継組織である渡島総合振興局の発足に至るまでの歴史的変遷、管轄地域、そして庁舎の移転について詳細に解説します。

設立から改組まで

渡島支庁の前身は、明治30年（1897年）に設置された函館支庁です。その後、亀田支庁、松前支庁と合併・改称を繰り返しながら、大正11年（1922年）に現在の名称である「渡島支庁」へと改称されました。この名称は、かつてこの地域を治めていた渡島国に由来しています。

昭和23年（1948年）の地方自治法施行により、支庁は都道府県が条例で設置する機関となりました。渡島支庁は、亀田郡、上磯郡、松前郡、茅部郡、山越郡、二海郡を管轄区域とし、函館市に庁舎を置いていました。

その後、昭和58年（1983年）の鹿部村の町制施行、平成16年（2004年）の函館市の周辺町村編入合併、平成17年（2005年）の森町と砂原町の合併、八雲町と熊石町の合併、平成18年（2006年）の上磯町と大野町の合併による北斗市の誕生など、管轄地域の行政区分は幾度となく変化しました。これらの合併により、渡島支庁の管轄区域は変遷し、複雑な歴史的経緯が見て取れます。特に、平成17年の合併で檜山支庁の熊石町が渡島支庁の管轄下に入ったことは、地域行政の大きな転換点となりました。

平成20年（2008年）には、北海道議会で支庁の再編が決定され、渡島支庁は檜山支庁と統合され、渡島総合振興局に改組されることとなりました。しかし、その後、関係自治体の反対を受け、改編計画は修正され、最終的に平成22年（2010年）4月1日、渡島支庁は廃止され、渡島総合振興局が発足しました。


庁舎の変遷

渡島支庁の庁舎は、明治42年（1909年）に函館市元町に木造2階建ての建物として建設されました。この建物は、後に道指定有形文化財に指定されています。その後、昭和25年（1950年）には大手町の日魯ビルに移転し、昭和31年（1956年）には五稜郭町に新庁舎が竣工しました。現在の函館市中央図書館の敷地が、かつての支庁があった場所です。そして、平成9年（1997年）には、美原地区に新たな合同庁舎が完成し、最終的にそこに移転しました。これらの庁舎移転の歴史は、函館市の都市発展と密接に関連しています。

管轄地域

渡島支庁の管轄区域は、主に渡島国に属する地域でした。函館市をはじめ、松前郡、上磯郡、亀田郡、茅部郡、二海郡の町村が含まれていました。ただし、八雲町の一部は胆振国に属しており、複雑な地域区分を示していました。

都市雇用圏

函館市を中心とする都市雇用圏は、渡島支庁の行政区域と密接な関係がありました。この都市雇用圏の範囲は、時代とともに変化し、その変遷は渡島支庁の役割と影響力を示す重要な指標となっています。


まとめ

渡島支庁は、明治時代後期から平成時代にかけて、道南地方の行政運営において重要な役割を果たしました。幾度かの合併や改編を経て、その管轄区域や組織形態は変化しましたが、常に地域の発展に貢献してきました。その歴史は、北海道の地方行政の歴史を理解する上で重要な一頁となっています。また、庁舎の移転の歴史は、函館市の都市発展の軌跡を映し出しているともいえます。渡島支庁の跡を継いだ渡島総合振興局は、現在も道南地方の発展に貢献しています。

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