尾西鉄道EL1形電気機関車

尾西鉄道EL1形電気機関車の概要

尾西鉄道EL1形電気機関車は、尾西鉄道が自社の運行に際して新たに導入した直流600Vに対応した電気機関車です。この機関車は、1924年にシーメンス社から輸入されたもので、当時の尾西鉄道では再電化に伴い、従来用いていた蒸気機関車に代わる新たな選択肢とされました。特にEL1は、シーメンス製の小型であることが特徴で、他の大型機関車と比べて小回りが利く設計となっています。

EL1は尾西鉄道の全線電化に際して、古い蒸気機関車（特に丁形と呼ばれる11形や12形）に代わって、貨物輸送の効率を高めるために用いられました。その役割は主に木曽川港駅における貨車の入れ替え作業に集中し、当時の貨物輸送を支える重要な存在となりました。

1925年8月1日、名古屋鉄道が尾西鉄道を買収した際、EL1は名古屋鉄道のデキ1形(1)に改名されました。名鉄の電気機関車の中で最も小型であり、その小ささから特定の運用において重宝されました。特に、EL1は戦後の佐屋駅近郊にある砂利取線での使用が記録されています。その後、尾西線を経て、竹鼻線の西笠松駅や大須駅でも入換作業に使われるようになりました。

しかし、この機関車の運命は1960年に廃車されることで終焉を迎えました。EL1形電気機関車の役割が減少していく中、従来の機関車から新しいタイプの運転方法へと移行する流れがあったため、尾西鉄道にとっても時代の要請に応ぼうとした変革の一端を示すものでした。

脚注と参考文献

この機関車についての詳細な情報は、清水武、田中義人、澤内一晃の共著による『名古屋鉄道の貨物輸送』に記載されています。このような文献を通じて、名古屋鉄道とその電気機関車の歩みを深く理解することができます。

また、EL1形と同様にシーメンス社製の凸型電気機関車を用いた上信電気鉄道のデキ1形や三池鉄道の1号機、さらには国鉄ED57形についても関連情報があります。これらの機関車は、同じ系統の製品であることから、興味深い比較対象となるでしょう。

最後に、名古屋鉄道の公式サイトではデキ1形に関する特別展の情報や、EL1形の写真資料にアクセスすることができ、当時の姿を目にすることができます。これにより、歴史的な背景を持つこの機関車の重要性を再認識することができるでしょう。

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