尾部銃手

尾部銃手（Tail gunner）とは

尾部銃手、または後部銃手とは、軍用機において機体後方からの攻撃を防衛する役割を担う搭乗員のことです。彼らは、機体後部に装備された旋回機関銃や機関砲を操作し、敵機の攻撃から機体を守りました。

尾部銃手の役割

敵戦闘機は、爆撃機を攻撃する際、通常、後方から接近します。これは、敵機の速度差を小さくし、攻撃の機会を増やすためです。しかし、機動性に劣る爆撃機は、容易に敵戦闘機に後方を取られてしまいます。そこで、尾部銃手が、後方からの攻撃に対する反撃の要となりました。尾部銃手は、敵機の早期発見にも貢献し、特に夜間空襲時にはその役割が重要でした。

尾部銃手の装備

尾部銃手が搭乗する銃塔には、固定式と回転式の2種類がありました。固定式銃塔は、限られた射界を持っていましたが、回転式銃塔は、180度旋回可能で、より広範囲をカバーできました。装備される機関銃は、7.7mmや12.7mmといった小口径のものが多く、取り回しの速さや装弾数が重視されました。

尾部銃手の戦い

尾部銃手は、敵戦闘機を撃墜することよりも、牽制することを主な目的としていました。しかし、第二次世界大戦後には、レーダー連動の射撃管制装置が導入されるなど、性能向上が図られました。ベトナム戦争では、B-52Dの尾部銃手がMiG-21戦闘機を撃墜した事例が2件記録されています。これらは、尾部銃手による最後の撃墜記録とされています。

尾部銃塔・後部銃座を持つ機種の例

ドイツ
Ju 87
Ju 88
イギリス
アブロ ランカスター
ハンドレページ ハリファックス
アメリカ
B-17 フライングフォートレス
B-29 スーパーフォートレス
ソ連
* Tu-95

尾部銃手の終焉

爆撃機に対する脅威が、銃撃から空対空ミサイルや地対空ミサイルに移行すると、尾部銃塔の射撃ではもはや命中が期待できなくなり、防御機銃は縮減に向かいました。しかし、尾部銃手は、航空機の歴史において重要な役割を果たした存在として、記憶されるべきでしょう。

彼らは、勇敢に敵に立ち向かい、機体と仲間を守り抜いた英雄でした。

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