尿素樹脂

尿素樹脂（ユリア樹脂）とは

尿素樹脂（にょうそじゅし）は、尿素とホルムアルデヒドを縮合重合させて製造される熱硬化性樹脂であり、アミノ樹脂（アミノプラスチック）の一種です。英語ではUrea Formaldehyde Resinと呼ばれ、UFと略されることもあります。CAS番号は9011-05-6です。

歴史

尿素とホルムアルデヒドの反応により樹脂状物質が得られることは19世紀末には確認されていましたが、工業化されたのは1920年頃のドイツでした。しかし、初期の製品は強度が低く実用性に乏しかったため、普及には至りませんでした。その後、1930年代以降に各国で実用化が進みました。

日本では、1929年に大日本セルロイド神崎工場で初めて工業化されましたが、当初は装身具や傘の柄など用途が限られていました。1941年頃から接着剤の生産が始まり、戦時中の軽金属不足から木材需要が増加したことで、合板用接着剤としての需要が拡大しました。

製法

尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒド水溶液を原料とし、アルカリ性または酸性条件下で脱水縮合反応させることで製造されます。工業的には、尿素とホルマリンを約1対2のモル比で反応釜に入れ、アンモニア水でpHを8〜12に調整し、60〜70℃で約1時間反応させることで初期縮合物を得ます。

特性

尿素樹脂は、主に成形品において以下のような特性を持ちます。

外観: 無色透明で、着色が容易です。光沢も良好です。
寸法安定性: 成形収縮率が0.4〜0.6%と小さく、ヒケが生じにくいです。
機械的強度: 表面強度が高く、機械的強度に優れています。ただし、フェノール樹脂などに比べると、耐水性や耐老化性は劣ります。
耐薬品性: 耐溶剤性に優れていますが、硫酸などの酸に対しては白化することがあります。
電気特性: 耐アーク性に優れています。
成形性: 成形が容易で、比較的安価に製造できます。

製品

尿素樹脂は、粉末状の成形材料、圧縮成形された成形品、液状または粉末状の接着剤、液状の塗料や繊維加工・紙加工用の処理剤など、さまざまな形態で製品化されています。

成形品としては、電気機器の部品、ボタンなどの日用品、漆器の素地、麻雀牌（象牙の代用）などに使用されています。

まとめ

尿素樹脂は、安価で成形性に優れるため、幅広い用途で利用されている樹脂です。特に接着剤としての需要が高く、木材加工に欠かせない材料となっています。一方で、耐水性や耐老化性には課題があり、使用環境に応じて適切な樹脂を選択する必要があります。

参考資料

『プラスチック活用ノート』 伊保内賢編 大井秀三郎・広田愃著 工業調査会 ISBN 4-7693-4123-7

関連項目

高分子

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