局部発振器

局部発振器：周波数変換の鍵を握る電子部品

局部発振器は、無線通信受信機において中心的な役割を担う電子部品です。その主な機能は、受信した信号の周波数を別の周波数に変換することです。これは、信号処理を容易にするため、あるいは不要なノイズを除去するために必要不可欠なプロセスです。

動作原理

受信機は、アンテナで受信した電波信号を局部発振器からの信号と混合します。局部発振器は、受信信号の周波数とは異なる、正確な周波数の正弦波を発生させます。この二つの信号が混合器で合成されると、元の受信信号の周波数と局部発振器の周波数の和と差の二つの新しい周波数が生成されます。この現象をヘテロダインといい、通常は差の周波数（中間周波数）が使用されます。この中間周波数は、元の受信信号の周波数を変換したものであり、このプロセスを周波数変換と呼びます。

ヘテロダインは、周波数のうなりとは異なる現象です。うなりは振幅の変動によって生じるのに対し、ヘテロダインは信号の掛け算によって発生します。この違いによって、うなりでは周波数の和は現れませんが、ヘテロダインでは和と差の両方の周波数が生成されます。

複数段の周波数変換

受信機の設計によっては、複数の局部発振器を用いて複数回の周波数変換を行う場合があります。これをダブルコンバージョンやトリプルコンバージョンといいます。これは、より複雑な信号処理やノイズ低減を実現するために用いられます。

歴史と応用

局部発振器は、アナログ時代の無線受信機で広く利用されてきました。しかし、1980年代以降は、ダイレクトコンバージョン方式と呼ばれる、局部発振器を使用しない受信方式も実用化され、一部で利用されています。

近年では、非線形光学技術の発展により、局部発振器の原理は光通信の分野にも応用されています。光信号は非常に高い周波数（10¹⁵ Hzオーダー）を持つため、通常の電子回路では処理が困難ですが、局部発振器を用いた周波数変換技術によって、光信号の処理が可能になっています。

関連技術

局部発振器は、スーパー[[ヘテロダイン受信機]]、ダイレクトコンバージョン受信機などの様々な受信機技術と密接に関連しています。また、高精度な周波数を発生させるためのTCXO（温度補償水晶発振器）、VCO（電圧制御発振器）、PLLシンセサイザなどの技術とも深く関わっています。

まとめ

局部発振器は、無線通信技術において不可欠な電子部品です。そのシンプルながらも重要な機能は、様々な受信機や通信システムの基盤を支え、現代の高度な情報通信社会を支える重要な役割を担っています。今後ますます高度化する情報通信技術において、局部発振器の更なる発展が期待されます。

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