屈葬

屈葬（くっそう）は、文化人類学や考古学において、埋葬の際に死者の手足を折り曲げた姿勢で埋葬する方法、またはその状態を指します。蹲葬（そんそう）とも呼ばれることがあります。

屈葬の種類

屈葬には、上半身の状態によっていくつかの種類があります。

仰臥屈葬（ぎょうがくっそう）: 上体が仰向け（背を下にした状態）の屈葬です。
横臥屈葬（おうがくっそう）: 上体が横向き（横腹を下にした状態）の屈葬です。
俯臥屈葬（ふがくっそう）: 上体がうつ伏せ（腹を下にした状態）の屈葬です。
座位屈葬（ざいくっそう）: 上体を立てた状態の屈葬です。

屈葬の程度も様々で、膝が胸に密着するほど深く折り曲げられたものから、わずかに膝が曲がっている程度のものまで存在します。そのため、屈葬と伸展葬（手足を伸ばした状態での埋葬）の区別が曖昧な場合もあります。

屈葬の理由

屈葬が行われた理由については、様々な説があります。

墓坑を掘る労力の節約: 手足を折り曲げることで、墓坑を小さくすることができ、労力を軽減できます。
休息の姿勢: 死者に安らかな休息を与えるため、自然な丸まった姿勢をとらせたという説です。
胎児の姿を模倣することによる再生の祈り: 胎児のように丸まった姿勢は、新たな生命の誕生を連想させ、死者の再生を祈る意味があったと考えられています。
死者の霊が生者へ災いを及ぼすのを防ぐため: 死者の霊が動き回るのを防ぐため、手足を縛ったり折り曲げたりしたという説です。

日本における屈葬

近年まで日本で行われていた座棺による土葬も、屈葬の一種と見なすことができます。座棺は、死者を座った姿勢で納める棺であり、手足を折り曲げた状態での埋葬となります。

屈葬は、世界各地の古代文明で見られる埋葬方法であり、その背景には、それぞれの文化や信仰に基づく様々な意味合いが込められていたと考えられています。

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