屋久島犬

屋久島犬（やくしまいぬ）について

屋久島犬は、日本の南西諸島、特に屋久島で独自の血統を形成してきた犬種です。日本犬の一種で、別名「屋久犬」とも呼ばれます。その起源は、日本犬の祖先とされる縄文犬との関連性があります。屋久島は地理的に隔離されているため、外来犬種との混血が避けられ、島内の犬同士での近親交配によって生まれました。

歴史と背景

屋久島では古くから、地元の住民によってヤクシマザルやヤクシカ、イタチといった獲物を狙った狩猟が行われてきました。しかし、屋久島犬の保護活動は長くは行われず、多くの犬はその血統の管理もされていませんでした。第二次世界大戦後、日本本土での狩猟用に引き取られることが多くなり、その際に他犬種との交配が進んだ結果、屋久島犬の純血種は次第に減少してしまいました。

特に、ジャーマン・シェパード・ドッグとの交配が進み、優れた狩猟犬が生まれたことで、狩猟家たちから高く評価されました。しかし、そのことが逆に純血屋久島犬の絶滅を招くこととなりまして、その結果、昭和20年代から30年代にかけて、純粋な屋久島犬は壊滅的な状況となりました。

1993年に屋久島が世界自然遺産に登録されると、狩猟に関する規制が強化されると共に、犬を手放す飼い主も増えるという悪循環が生じることとなりました。定義上、純粋な屋久島犬は存在しないとされるようになり、雑種や狩猟用に改良された犬たちが流通するようになりました。

特徴

屋久島犬はその体格において、小型から中型に分類されます。体高は40～50cm、体長は50～55cm、体重は10～20kg程度です。これは日本犬保存会が定める基準に基づいたもので、特に小さい部類に入ります。特徴的には、額と鼻先のストップが浅いものの明確で、深く沈んだ三角形の眼と、前傾した大きな耳を持っています。また、体は細く長い四肢を持ち、尾は太く長い差し尾です。

さらに、屋久島犬は非常にきびきびとした動作で走ることができ、その性格は野性的です。賢く、勇敢であり、物事に対して警戒心を抱く一方で、飼い主に対しては非常に忠実で従順な性質を示します。毛色は赤毛、胡麻毛、赤に胡麻が混じったものといった種類があり、特に山中に生える落ち葉の色合いの赤毛が多いのが特徴です。

現在の屋久島犬

現在、屋久島犬の純血種は存在しないと言われていますが、狩猟者の間では比較的純正に近い屋久島犬が見ることができるようです。また、今後の保護活動や研究が進むことで、屋久島犬の独自性が失われることなく保たれることが期待されています。この犬種のユニークな歴史と特性を守り、次世代へと伝えられることが重要です。

• ---

屋久島犬を通じて、日本の犬文化の豊かさと、この地域での独自の自然環境を理解することができるでしょう。

もう一度検索