屍人荘の殺人

『屍人荘の殺人』

『屍人荘の殺人』は、今村昌弘が手がけたミステリー小説であり、2017年に発表されて以来、多くの読者から支持を受けています。この作品は、第27回鮎川哲也賞を受賞し、さらには第18回本格ミステリ大賞を獲得するなど、数々の賞を受賞した実績があります。2021年8月時点でのシリーズ累計発行部数は100万部を超えており、その人気の高さを物語っています。

物語の舞台は、大学の映画研究部が行う夏合宿です。主な登場人物である葉村譲と明智恭介は、ミステリー愛好会のメンバーであり、この合宿に参加することになります。しかし、合宿先のペンション「紫湛荘（しじんそう）」で次々と起こる連続殺人事件に直面し、彼らは生き残りをかけて真相に挑むことになります。

概要

この作品は、作家・今村昌弘のデビュー作でもあります。彼は、過去の密室ミステリーの作品を参考にして、密室のなかでの殺人を描くという独自のアプローチを試みました。その結果、読者は意表を突かれるトリックや展開に引き込まれます。例えば、物語内で使用されるクローズド・サークルや、映画のようなサスペンスフルな場面が巧妙に絡み合っています。また、漫画や映画化もされ、幅広いメディア展開がされています。

あらすじ

物語が始まると、葉村譲と明智恭介は友人である剣崎比留子に誘われ、映画研究部の合宿に参加します。合宿初日の夜、近くで進行中の「サベアロックフェス」に参加していた人々が、「屍人」と呼ばれる恐ろしい存在になった亡者たちとして現れ、人々を襲います。葉村たちはこの異様な状況から逃れるために、「紫湛荘」に立てこもることになります。

翌日、合宿先で映画研究部の部長進藤歩の他殺体が発見され、現場は何重にも施錠された「二重の密室」であったことが分かります。この状況から、事件はより複雑になります。事件の真相を追い求める葉村たちは、屍人に囲まれた状況で、様々な手がかりを探し出していきます。しかし、眠ってしまうメンバーや、新たな遺体の発見が続く中で皆の恐怖は増していくのです。

一連の事件が進行するなかで、比較的平穏だった合宿が一転し、緊迫感が高まります。葉村たちは自らの行動や状況を分析し、次々と容疑者を絞り込んでいきます。そして、最終的には美冬が真犯人であることが明らかになり、その衝撃の告白がなされます。彼女の動機は、幼馴染のサークル仲間への復讐であり、それにより事件の核心に迫ることになります。

映画化とその影響

本作は2019年に神木隆之介主演で映画化され、話題を呼びました。映画の設定やキャストが一部異なるものの、原作のスリリングな要素は十分に継承されています。映画の公開が大きな話題となり、ミステリーの枠を超えた多くのファンを獲得しました。

『屍人荘の殺人』は、密室トリックとキャラクターの魅力が織り交ぜられた、エンターテインメント性豊かなミステリー作品であり、多くの人に楽しんでもらえる物語です。

もう一度検索